
「建設業許可を持っていることが、ファクタリングの審査にも影響するって聞いたんだけど、本当かな?どんな関係があるんだろう。」

「はい、実際に建設業許可の有無はファクタリング利用において重要な要素になります。許可業者であることで信用度が高まるケースが多いんです。」

「なるほど。でも許可の更新前で財務状況が厳しい時にファクタリングを利用すると、次の許可更新に悪影響があったりしないかな?」

「それは多くの経営者様が気にされるポイントですね。実は適切に利用すれば、むしろ許可更新にプラスに働くこともあるんですよ。」

「え、本当?ファクタリングと建設業許可って、そんな深い関係があるんだね。具体的にはどういう点に気をつければいいの?」

「この記事では、建設業許可を持つ会社のファクタリング利用のメリットや、許可更新時の注意点、さらには財務基準をクリアするための戦略的な活用法まで詳しくご紹介していきます。」
建設業界で事業を営む上で避けて通れない「建設業許可」と、資金調達手段として注目される「ファクタリング」。この2つは一見、別々の話題のように思えますが、実は密接な関連性があります。建設業許可を取得・維持するための財務要件や、許可を持つことでファクタリングがより有利に活用できる可能性など、両者の関係性を理解することで、より効果的な経営戦略を立てることができます。本記事では建設業許可とファクタリング利用の関係性について、具体的な事例を交えながら解説します。
建設業許可制度の基本と財務要件
建設業許可の概要と必要性
建設業許可とは、建設業法に基づいて国土交通大臣または都道府県知事から与えられる許可です。建設工事の請負金額が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の工事を請け負う場合には、この許可が必要となります。
許可には一般建設業許可と特定建設業許可の2種類があり、下請け総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる場合には特定建設業許可が必要です。許可は5年ごとの更新制となっており、定期的に要件を満たしていることを証明する必要があります。
この許可を持つことで、大型工事の受注機会が広がるだけでなく、取引先や金融機関からの信用力向上にもつながります。例えば東北地方の年商1億5,000万円の建設会社では、建設業許可を取得したことで公共工事の入札資格を得られ、年間売上が約30%増加した事例があります。
また建設業許可は単なる行政手続きではなく、経営の健全性を示す指標としても機能します。特に財務面での要件が設けられており、これが後述するファクタリング利用との関連性において重要なポイントとなります。
許可取得・更新における財務的要件
建設業許可の取得や更新には、いくつかの財務的要件を満たす必要があります。主な要件としては以下のようなものがあります。
まず「財産的基礎」の要件があります。一般建設業の場合、申請する個人が500万円以上の資産を有するか、法人であれば資本金が500万円以上または自己資本が500万円以上であることが求められます。特定建設業の場合はさらに厳しく、資本金が2,000万円以上または自己資本が4,000万円以上という基準があります。
次に「経営状況」の要件があります。これは直前の決算における利益額や負債額などから判断され、著しく不健全な財務状況でないことが求められます。具体的には債務超過の状態が続いているなど、明らかに財務状況が悪い場合には許可が下りない可能性があります。
例えば関東地方の年商3億円の建設会社では、許可更新時に直近の決算で一時的な赤字により自己資本が減少し、財産的基礎の要件を満たせなくなるリスクが発生しました。ファクタリングを活用して売掛金を早期に資金化し、一部を増資に回すことで自己資本を増強。無事に許可更新を果たした事例があります。
この財産的基礎や経営状況の要件が、ファクタリング利用との重要な接点となります。ファクタリングは適切に活用することで、これらの財務要件を満たすための資金繰り改善に貢献することがあるのです。
ファクタリングの基本と建設業での活用
建設業界におけるファクタリングの基本的な仕組み
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(未回収の売上債権)をファクタリング会社に売却して早期に資金化するサービスです。建設業界では、工事完了後の未収入金や出来高に応じた請求債権を売却することで、支払期日を待たずに資金調達できる手法として活用されています。
建設業界でよく利用されるファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。2社間ファクタリングは建設会社とファクタリング会社の間だけで契約が完結し、発注者に知られることなく利用できます。一方、3社間ファクタリングは発注者の承諾が必要となる代わりに、手数料率が低く抑えられる傾向があります。
建設業界の特徴として、工事完了から入金までの期間が長いことが挙げられます。特に公共工事では検査完了から支払いまでに30〜40日、民間工事では60〜90日を要することも珍しくありません。この長い回収期間が資金繰りに大きな影響を与えるため、ファクタリングによる早期資金化のニーズが高いのです。
中部地方の年商2億円の建設会社では、公共工事(契約金額1億円)の完成後、入金までの40日間の運転資金が不足する事態に直面しました。この完成工事債権をファクタリングで資金化することで、支払期日を待たずに約9,500万円(手数料率5%)の資金を調達し、次の工事着工に必要な資材調達や人件費の支払いに充てることができました。
建設業許可を持つことのファクタリング利用上のメリット
建設業許可を持つことは、ファクタリング利用においても様々なメリットをもたらします。
まず審査の円滑化と手数料率の低減が期待できます。建設業許可は事業の適法性や一定の経営基盤を証明するものとして、ファクタリング会社からの信用評価に好影響を与えます。特に建設業に特化したファクタリング会社では、許可の有無や種類(一般/特定)を重要な審査ポイントとしていることが多いです。
例えば九州地方の年商1億5,000万円の建設会社では、特定建設業許可を取得した後にファクタリングを利用したところ、それまでの手数料率12%から9%に低減された経験があります。ファクタリング会社からは「特定建設業許可取得により経営の安定性が高まったと判断した」との説明があったといいます。
次に債権の信頼性向上も重要なメリットです。建設業許可を持つことで、発注者(特に公共機関や大手企業)との契約の適法性や履行能力が裏付けられ、その結果として発生する債権の信頼性も高まります。ファクタリング会社は債権の質を重視するため、許可を持つ会社の債権は好条件での買取が期待できます。
北海道の年商1億円の建設会社では、建設業許可取得前は小規模な民間工事しか受注できず、その債権をファクタリングする際も高い手数料率(15%程度)を提示されていました。許可取得後は公共工事を受注できるようになり、その債権は5%程度の手数料率でファクタリングできるようになったと報告しています。
建設業許可更新時のファクタリング活用方法
許可更新に必要な財務要件とファクタリングの関係
建設業許可は5年ごとの更新が必要であり、その際にも財産的基礎や経営状況などの財務要件を満たしている必要があります。この更新時の財務要件確保にファクタリングを活用するケースが増えています。
具体的な活用法としては、まず許可更新直前期の決算対策があります。許可更新の審査では直前の決算書がチェックされるため、この決算内容が重要となります。例えば自己資本が基準額(一般建設業で500万円、特定建設業で4,000万円)を下回るリスクがある場合、工事完成債権をファクタリングで資金化し、その一部を資本金として増資することで自己資本比率を高める方法があります。
関東地方の年商2億5,000万円の建設会社では、許可更新直前の決算期に一時的な業績悪化で自己資本が減少し、特定建設業の基準である4,000万円を下回るリスクが発生しました。そこで完成工事債権5,000万円をファクタリングで資金化し、そのうち1,500万円を資本金として増資。自己資本を基準以上に維持することに成功し、無事に許可更新を果たしました。
次に流動比率の改善にもファクタリングは有効です。建設業許可の経営状況審査では、流動資産÷流動負債で計算される流動比率も重要な指標となります。売掛金をファクタリングで現金化することで、流動資産の内訳が「売掛金」から「現金・預金」に変わり、流動性が高まったと評価される可能性があります。
九州地方の年商3億円の建設会社では、許可更新時の決算対策として、売掛金の一部(約2,000万円)をファクタリングで現金化。これにより流動比率が向上し、経営状況の評価が改善されました。ファクタリングの手数料(約160万円)を支払ってでも、許可更新のリスクを回避する価値があったと評価しています。
許可更新時の資金需要とファクタリングによる対応
建設業許可の更新時には、申請手数料や書類作成費用、場合によっては財務要件を満たすための追加出資など、様々な資金需要が発生します。特に複数の許可業種を持つ場合や、一般から特定への変更を伴う場合には、まとまった資金が必要となることもあります。
例えば許可申請手数料は、国土交通大臣許可の場合は1業種につき5万円、都道府県知事許可の場合は1業種につき4万円かかります。5業種の許可を持つ会社が更新する場合、20万円以上の手数料が必要となります。さらに行政書士などの専門家に依頼する場合の費用(10万円〜30万円程度)も加わります。
東北地方の年商1億8,000万円の建設会社では、5業種の許可更新と同時に一般建設業から特定建設業への変更を行う際、申請手数料と行政書士費用で約50万円、さらに特定建設業の財産的基礎要件を満たすための資本金増強で2,000万円と、合計約2,050万円の資金が必要となりました。
こうした資金需要に対して、完成工事の売掛債権3,000万円をファクタリングで資金化(手数料率9%で約2,730万円を調達)。これにより申請手数料と行政書士費用をカバーしつつ、資本金増強に必要な資金も確保することができました。
このように建設業許可の更新時には、一時的にまとまった資金が必要となるケースが多く、そうした場合にファクタリングが効果的な資金調達手段となります。特に銀行融資などの従来型の資金調達に比べ、審査が比較的迅速で財務諸表に負債計上されないという特徴が、許可更新時の資金ニーズに適しています。
建設業許可の財務要件とファクタリングの会計上の影響
ファクタリングの会計処理と財務諸表への影響
ファクタリングの会計処理とその財務諸表への影響について理解することは、建設業許可との関連で重要です。
基本的にファクタリングは売掛債権の売却であり、借入ではありません。そのため適切に処理される場合、バランスシート上では「売掛金」が減少し「現金・預金」が増加するという資産の入れ替わりが生じるだけで、負債は増加しません。これが銀行融資などと大きく異なる点です。
具体的な仕訳としては以下のようになります。 売掛金1,000万円をファクタリングで資金化し、手数料80万円(8%)を支払った場合: (借方)現金・預金 920万円 / (貸方)売掛金 1,000万円 (借方)支払手数料 80万円 / (貸方)
この処理により、自己資本比率(純資産÷総資産)には原則として悪影響を与えません。むしろ手数料を支払うことで純利益がその分減少するものの、資産構成が「売掛金」から流動性の高い「現金・預金」に変わることで、流動性指標は改善する可能性があります。
関西地方の年商2億円の建設会社では、許可更新直前の決算期に売掛金3,000万円をファクタリングで資金化。手数料270万円(9%)を支払いましたが、流動比率が1.2から1.5に向上し、経営状況の評価が改善されました。これにより許可更新審査もスムーズに通過できたと報告しています。
買戻し条項付きファクタリングの注意点
ファクタリングには「買戻し条項」が付されているケースがあり、これは建設業許可の財務要件との関連で特に注意が必要です。
買戻し条項とは、ファクタリングで譲渡した債権が何らかの理由(債務者の倒産や支払い拒否など)で回収できなかった場合、売却した企業が債権を買い戻す(または相当額を支払う)義務を負うという条項です。この条項がある場合、会計上は実質的に「借入」と同様の処理が必要となる可能性があります。
具体的には「売掛金」が減少する一方で「短期借入金」などの負債が計上されることになり、自己資本比率の低下など財務指標に悪影響を与える可能性があります。これは建設業許可の財務要件審査において不利に働く可能性があります。
中部地方の年商1億5,000万円の建設会社では、買戻し条項付きのファクタリングを利用したところ、監査法人から「実質的な借入として処理すべき」と指摘され、結果的に負債が増加。特定建設業許可の更新審査で財務状況に関する追加説明を求められる事態となりました。最終的には許可更新はできたものの、次回からは買戻し条項のないファクタリングを選ぶよう方針を変更したといいます。
このようなリスクを避けるためには、契約前に買戻し条項の有無を確認し、可能であれば買戻し条項のないファクタリングを選択することが望ましいでしょう。特に建設業許可の取得・更新を控えている場合は、この点に特に注意が必要です。
許可取得・更新とファクタリング利用の成功事例
初めての建設業許可取得時のファクタリング活用例
建設業許可を初めて取得する際にファクタリングを活用した成功事例を紹介します。
関東地方で内装工事業を営むA社(年商7,000万円)は、創業3年目に入り事業拡大のため建設業許可の取得を目指していました。しかし一般建設業許可の取得に必要な財産的基礎要件(個人事業主の場合は500万円以上の資産)を満たすための資金が不足していました。
A社の経営者は個人の預金が約300万円、事業用資産が約100万円と、合計400万円程度の資産しかなく、あと100万円以上の資産増強が必要でした。また許可申請の手数料や行政書士への依頼費用なども合わせると約30万円の追加資金も必要でした。
そこでA社は完成済みの内装工事(請求額850万円、入金予定は2ヶ月後)の債権をファクタリングで資金化することにしました。2社間ファクタリングを選択し、手数料率11%(93.5万円)を支払って約756.5万円の資金を調達しました。
この資金から130万円を個人の資産として預金し、500万円以上の財産的基礎要件を満たした上で許可申請を行いました。申請手数料と行政書士費用(合計約30万円)も同じ資金から捻出し、残りは事業の運転資金として活用しました。
結果として約3ヶ月後に無事、内装工事業の一般建設業許可を取得。これにより500万円以上の工事も請け負えるようになり、大手内装会社からの下請工事も受注できるようになりました。翌年には売上が約30%増加し、ファクタリングの手数料を支払ってでも許可取得のための資金を調達した判断は正しかったと評価しています。
許可更新と新規許可追加を同時に実現した事例
建設業許可の更新と同時に新たな業種の許可を追加取得する際にファクタリングを活用した事例も見てみましょう。
九州地方で土木工事を中心に事業を展開していたB社(年商2億5,000万円)は、5年に一度の許可更新時期が迫る中、新たに建築工事業の許可も追加取得したいと考えていました。しかし通常の許可更新費用(5業種で約40万円の手数料と行政書士費用約25万円)に加え、新規業種追加のための財務要件強化が必要でした。
特に建築工事業を追加することで、下請総額が4,000万円を超える大型工事も受注する計画だったため、一般建設業から特定建設業への変更も必要となりました。そのためには資本金を1,000万円から2,500万円に増強する必要がありました。
B社は複数の完成工事債権(合計3,500万円)をファクタリングで資金化する計画を立てました。公共工事分(2,000万円)は3社間ファクタリングで手数料率5%(100万円)、民間工事分(1,500万円)は2社間ファクタリングで手数料率10%(150万円)という条件で、合計約3,250万円の資金を調達しました。
この資金から1,500万円を資本金増強に充て、2,500万円の資本金を実現。特定建設業許可の財産的基礎要件を満たすことができました。許可更新と新規許可追加の手数料・行政書士費用(約80万円)もカバーし、残りの資金は新規事業展開のための設備投資や人材採用に活用しました。
結果として許可更新と新規業種追加、一般から特定への変更をすべて同時に実現。その後、大型の建築工事も受注できるようになり、事業領域を大きく拡大することに成功しました。ファクタリングの手数料(合計250万円)を考慮しても、新規事業展開による利益増加で十分にカバーできる投資だったと評価しています。
建設業許可とファクタリングは、それぞれ建設業経営において重要な要素です。両者の関係性を理解し、適切に組み合わせることで、許可取得・更新における財務要件の充足や、許可を活かしたより有利なファクタリング利用が可能になります。特に建設業特有の長い入金サイクルと許可要件の両立において、ファクタリングは効果的なツールとなります。ただし買戻し条項の有無など会計処理上の影響には十分注意し、自社の状況に合った適切な方法を選択することが重要です。

