
IT業界に新規参入したばかりなんだけど、初期開発案件を獲得できたものの、納品から入金までの期間が想像以上に長くて…。エンジニアの給与やサーバー費用などは毎月発生するのに、売上金が入るのは数ヶ月先。銀行融資も検討したけど、『事業実績が少ない』という理由で断られてしまったんだよね。

IT業界への新規参入で多くの方が直面する課題ですね。技術力があって案件を獲得できても、入金サイクルの長さが資金繰りを圧迫することが多いです。特に創業初期は事業実績が少ないため、従来の金融機関からの融資も難しいですよね。

そうなんだよ。技術的なチャレンジは覚悟していたけど、こういった資金面の課題が思った以上に大きくて…。事業を軌道に乗せるためにもっと案件を獲得したいけど、資金繰りが不安だと積極的に動けないし。新規参入でも使える資金調達の方法ってあるのかな?

新規参入のIT事業者向けのファクタリングサービスがあります。この記事では、事業実績が少なくても売掛金を早期に現金化する方法や、IT業界に特化したファクタリング会社の選び方、申込手順まで詳しく解説しています。創業期の厳しい時期を乗り越えて事業を軌道に乗せるための具体的な資金戦略が学べる内容になっていますよ。
IT業界への新規参入は技術力と同時に、堅実な資金計画が成功の鍵を握ります。特に創業期から成長期にかけては、売上が安定せず、大企業との取引では長い入金サイクルに直面することが少なくありません。そんな状況でキャッシュフローを安定させる強力なツールがファクタリングです。技術開発に集中しながら資金繰りの不安を解消するための具体的な方法をご紹介します。
IT業界新規参入者が直面する資金繰りの壁
IT業界への新規参入時、多くの事業者が予想以上の資金繰りの壁に直面します。技術力があっても資金不足で成長機会を逃すケースは珍しくありません。
長い入金サイクルと開発コストのミスマッチ
IT業界では、特に大企業との取引において60日~90日という長い入金サイクルが一般的です。一方で、開発費用や人件費は毎月発生します。このギャップがキャッシュフローを圧迫します。
ある創業2年目のアプリ開発企業では、大手企業から500万円の開発案件を受注しましたが、契約条件は「検収後60日以内の支払い」。3ヶ月の開発期間中、毎月150万円の人件費と20万円のクラウドサービス利用料が発生し、総額510万円の先行投資が必要となりました。
創業期特有の与信不足問題
創業間もないIT企業は、実績や信用情報が乏しいため、銀行からの融資獲得が難しいという現実があります。また、創業期は担保となる資産も限られており、従来の資金調達手段にアクセスしづらい状況に置かれています。
年商6,000万円、創業1年のクラウドサービス会社が直面した課題は、銀行融資の審査で「創業3年未満」という理由で断られたことでした。成長に必要な300万円の資金調達が困難となり、新規採用計画を延期せざるを得なくなりました。
ファクタリングとは?IT事業者にとっての意味
ファクタリングは売掛金を早期に現金化するサービスで、IT事業者にとって特に有効な資金調達手段です。
ファクタリングの基本メカニズム
ファクタリングは、未回収の売掛金(請求書)をファクタリング会社に売却して即時に資金化するサービスです。通常、売掛金額の80%~90%が即日~数日で支払われ、残りは手数料を差し引いて入金時に精算されます。
例えば、100万円の請求書を発行した場合、ファクタリングを利用すると85万円が翌営業日に入金され、残りの15万円から手数料(例えば5万円)を差し引いた10万円が取引先からの入金後に精算されるという流れです。
IT事業者がファクタリングに向いている理由
IT事業者がファクタリングと相性が良い理由はいくつかあります。
取引先の信用力に依存:IT事業者の多くは大企業との取引があり、取引先の信用力が高いためファクタリング審査が通りやすい
プロジェクト単位の大口請求:システム開発などは一件あたりの請求額が大きく、効率的にまとまった資金を調達できる
売掛金の明確性:IT業界は契約書や発注書が明確で、売掛金の証明が容易なためファクタリングしやすい
年商8,000万円のIT企業の事例では、大手企業向けの開発案件(請求額400万円)をファクタリングすることで、開発中に発生した外注費200万円の支払いに充当。次の案件に人的リソースを集中させることができました。
創業期のIT事業者におけるファクタリング活用法
創業間もないIT事業者にとって、ファクタリングは生命線となる場合もあります。具体的な活用方法を見ていきましょう。
初期受注案件の資金化戦略
創業期には1つの案件の成否が経営を左右します。初期の大型案件をファクタリングで効果的に資金化する戦略が重要です。
部分納品・部分請求の交渉:大型案件を複数のフェーズに分け、各フェーズ完了ごとに請求・ファクタリングする
前払い金とファクタリングの組み合わせ:契約時に一部前払いを受け、残りをファクタリングで資金化
大手企業との初回取引でファクタリングを活用した例として、創業半年のWebサービス開発会社があります。大手メーカーから600万円の案件を受注した際、開発を3フェーズに分割し、各フェーズ200万円の部分請求を行いました。それぞれの請求書を発行後すぐにファクタリングで資金化したことで、開発者への給与支払いを滞りなく行い、プロジェクトを成功させることができました。
創業期の固定費カバー術
創業期は収入が不安定でも、家賃や人件費などの固定費は確実に発生します。ファクタリングを活用して固定費をカバーする方法を考えましょう。
最低限の売上確保と全額ファクタリング:毎月の固定費をカバーする最低限の売上を確保し、その全額をファクタリングする
売掛金ポートフォリオの構築:複数の小規模案件を持つことで、常に何らかのファクタリング対象となる売掛金を確保する
創業1年、従業員5名のシステム開発会社では、毎月の固定費150万円(人件費120万円、家賃20万円、その他10万円)をカバーするため、保守契約などのリカーリング収益80万円に加え、小規模開発案件を複数確保。発生した売掛金を月初にファクタリングすることで、固定費支払いのサイクルを安定させました。
成長期に入ったIT事業者のファクタリング戦略
創業期を乗り越え、事業が軌道に乗り始めたIT事業者は、より戦略的なファクタリング活用が求められます。
大型案件獲得のためのファクタリング活用
事業拡大期には、これまでより大きな案件を受注する機会が増えてきます。その際の資金計画にファクタリングを組み込む方法を見ていきましょう。
プロジェクト専用の資金計画:大型プロジェクトごとに収支計画を立て、ファクタリングのタイミングを事前に組み込む
段階的なファクタリング:開発の進捗に合わせて段階的に請求・ファクタリングし、プロジェクト全体の資金効率を高める
年商1億2,000万円のシステム開発会社は、大手小売業から2,000万円のPOSシステム開発案件を受注した際、8ヶ月の開発期間を4フェーズに分け、各フェーズ終了時に500万円ずつ請求することを契約に盛り込みました。各フェーズの請求書発行後すぐにファクタリングを実施し、外注費や人件費の支払いに充当。結果的に自己資金800万円で2,000万円の案件を滞りなく完遂できました。
成長投資とファクタリングの組み合わせ
成長期には新たな人材採用や設備投資など、将来のための投資も必要です。これらとファクタリングを組み合わせる方法を検討しましょう。
売掛金の一部ファクタリング:全ての売掛金ではなく、成長投資に必要な分だけをファクタリングして費用対効果を最大化
ファクタリングと融資の併用:長期的な成長投資は融資で、短期的な資金需要はファクタリングでカバーする二段構えの戦略
創業3年目、年商2億円のクラウドサービス会社は、サービス拡大のためのエンジニア採用(年間人件費増加額960万円)に際して、既存の大口契約(年間3,600万円、月額300万円)のうち、四半期ごとの一部(900万円)をファクタリングすることで、増加する人件費を賄いました。手数料負担と採用効果を比較検討し、投資対効果の高いファクタリング戦略を立案したことがポイントでした。
IT事業者向けファクタリングの種類と選び方
IT事業者が活用できるファクタリングにはいくつかの種類があります。状況に応じた最適な選択が重要です。
二者間ファクタリングと三者間ファクタリングの使い分け
ファクタリングには大きく分けて二者間と三者間の2種類があります。
二者間ファクタリング:ファクタリング会社と利用企業のみで契約を行い、取引先に知られずに利用できる。手数料は比較的高い(5%~10%程度)が、取引先との関係維持が重要な場合に適している
三者間ファクタリング:取引先を含めた三者で契約を行うタイプ。手数料が比較的安い(2%~5%程度)が、取引先の承諾が必要となる
創業間もないWebデザイン会社の事例では、大手企業との初めての取引で関係性を損なわないよう二者間ファクタリングを選択。手数料は高かった(8%)ものの、取引先に知られることなく資金化できたことで、次の案件獲得にもつながりました。
一方、創業5年目のシステム開発会社は、長期的な取引関係にある顧客と交渉し、三者間ファクタリングの承諾を得ることで手数料を3%に抑え、年間約200万円のコスト削減に成功しています。
IT業界向け専門ファクタリングの特徴
最近では、IT業界の特性を理解したファクタリングサービスも登場しています。
プログラムコード担保型ファクタリング:開発中のプログラムコードを評価対象とする先進的なサービス
検収前ファクタリング:IT業界特有の長い検収プロセスを考慮し、検収前でも一定条件下でファクタリングを行うサービス
SaaS特化型ファクタリング:サブスクリプション型の収益モデルに特化したファクタリングサービス
あるWeb開発企業は、検収に通常1ヶ月かかる大企業との取引において、納品後すぐに「検収前ファクタリング」を利用。検収完了前に売掛金の70%(350万円)を資金化できたことで、次の案件の開発着手を予定通り進めることができました。通常のファクタリングでは納品後すぐの資金化は難しかったケースです。
ファクタリング活用のための社内体制整備
ファクタリングを効果的に活用するためには、社内体制の整備も重要です。
請求書・契約書類の整備と電子化
ファクタリングの審査をスムーズに通すためには、請求書や契約書などの書類が整っていることが重要です。
電子契約・電子請求書システムの導入:書類の電子化により、ファクタリング申請から資金化までのスピードが向上
契約書テンプレートの整備:債権譲渡禁止条項を含まない契約書テンプレートの準備
契約書チェックリストの作成:ファクタリングを前提とした契約書チェック体制の構築
年商9,000万円のIT企業では、請求書発行から入金までの管理をクラウド会計ソフトで一元化し、ファクタリング会社とのAPI連携を実現。請求書発行後、ワンクリックでファクタリング申請が完了する仕組みを構築したことで、申請から入金までの期間を5日から2日に短縮できました。
財務担当者とエンジニアの連携強化
技術中心の組織になりがちなIT企業では、財務担当者とエンジニアの連携が特に重要です。
プロジェクト計画段階からの財務参画:開発計画時点で資金計画も立て、ファクタリングの必要性を事前に評価
マイルストーン設定への財務視点導入:技術的なマイルストーンだけでなく、請求・入金のタイミングを考慮したマイルストーン設定
創業2年目、従業員12名のIT企業では、月次の全体会議で開発チームと財務担当が情報共有する場を設け、案件の進捗状況とキャッシュフロー予測を共有。その結果、開発チーム側から「このフェーズで部分納品・請求を行い、ファクタリングで来月の人件費を確保しては?」という提案が出るなど、全社的な資金意識が向上しました。
成功事例に学ぶ新規IT事業者のファクタリング活用術
実際の成功事例から、効果的なファクタリング活用の秘訣を学びましょう。
SaaSスタートアップの事例
創業1年、従業員7名のSaaSスタートアップA社は、企業向けコミュニケーションツールを開発していました。月額課金モデルで徐々に顧客を増やしていましたが、大手企業向けにカスタマイズ版を提供する機会を得たことで資金繰りに課題が発生しました。
カスタマイズ開発費用として600万円の見積もりを提示し受注しましたが、契約条件は「納品検収後60日以内の支払い」。3ヶ月の開発期間中、毎月の人件費210万円(合計630万円)をどう捻出するかが課題でした。
A社は以下の戦略を実行しました。
開発計画の3フェーズ分割と部分請求:全体を3つのフェーズに分け、各フェーズ終了時に200万円ずつ請求する契約に変更
請求書発行後の即時ファクタリング:各フェーズの請求書発行後、すぐに二者間ファクタリングを実施(手数料率7%)
月額課金収入の確保:既存顧客からの月額収入(月130万円)は固定費の一部に充当
この結果、各フェーズの請求額200万円に対し、ファクタリングで約186万円を即時調達(手数料14万円)。月額収入と合わせて人件費をカバーしながらプロジェクトを遂行できました。プロジェクト完了後、そのカスタマイズ版をベースに標準機能を拡充したことで、新規顧客の獲得にもつながり、月額収入が3ヶ月で130万円から210万円に増加する好循環を生み出しました。
受託開発企業の事例
創業3年目、従業員15名、年商1億8,000万円の受託開発企業B社は、複数の中小案件と並行して、初めての大型案件(1,500万円)を大手企業から受注しました。9ヶ月の開発期間と「納品後90日以内の支払い」という条件で、資金繰りに懸念がありました。
B社は以下の対策を実施しました。
三者間ファクタリングの事前交渉:契約段階で取引先に三者間ファクタリングの可能性について説明し、承諾を得る
3ヶ月ごとの進捗報告と部分請求:3ヶ月ごとに500万円ずつ部分請求できる契約条件に変更
ファクタリング会社との関係構築:複数のファクタリング会社と関係を構築し、最適な条件(手数料率3.5%)を引き出す
開発チームの効率的配置:中小案件と大型案件を並行して進められるよう、チーム編成を工夫
これらの対策により、部分請求した500万円ごとにファクタリングで約482万円(手数料18万円)を調達。資金ショートすることなく大型案件を遂行できました。また、三者間ファクタリングの経験を通じて取引先との信頼関係が深まり、次の大型案件(2,000万円)にもつながりました。
創業期から成長期までのファクタリング活用ロードマップ
最後に、IT事業者が成長フェーズに合わせたファクタリング活用のロードマップを考えてみましょう。
創業初期(0~1年目)のファクタリング戦略
創業初期は生存のためのキャッシュフロー確保が最優先です。
小規模案件の積み重ねと即時ファクタリング:確実に遂行できる小規模案件を複数確保し、ファクタリングで固定費をカバー
二者間ファクタリングの活用:取引先との関係構築を優先し、知られずに資金化できる二者間ファクタリングを活用
ファクタリング会社との関係構築:創業期からファクタリング会社と関係を築き、徐々に条件改善を図る
創業半年のある企業では、月の固定費120万円をカバーするため、確実に受注できる小規模案件(30万円~50万円)を毎月3~4件確保。全ての請求書をファクタリングにかけることで、手数料は高め(8%程度)でしたが安定した資金繰りを実現しました。
成長期(1~3年目)のファクタリングと融資の組み合わせ
事業が軌道に乗り始めたら、より戦略的な資金調達が可能になります。
三者間ファクタリングへの移行:主要取引先との関係が安定したら、手数料の安い三者間ファクタリングへ移行
ファクタリングと融資の使い分け:短期的な資金需要はファクタリング、長期的な投資は融資で賄う
リピートファクタリングの導入:定期的な売掛金はリピートファクタリング契約で手数料を抑制
創業2年目、年商1億5,000万円に成長したIT企業の例では、安定した月次売上(800万円)の一部(300万円)をファクタリングで資金化し日々の運転資金に充て、設備投資や長期的な開発プロジェクトには日本政策金融公庫からの融資(500万円、年利1.5%)を活用するというバランスの取れた資金調達を実現しました。
安定期(3年~)のファクタリング活用
事業が安定期に入ると、より戦略的なファクタリング活用が可能になります。
選択的ファクタリング:全ての売掛金ではなく、資金需要に応じて選択的にファクタリングを活用
新規事業チャレンジの資金源:既存事業の売掛金をファクタリングし、新規事業の資金に充てる
フィンテックの活用:クラウドファクタリングなど、新しいフィンテックサービスも選択肢に
創業4年目、年商3億円の企業では、主力事業の安定した売掛金をベースに選択的なファクタリングを実施。その資金を活用してAI分野への新規事業展開に着手し、先行投資として月80万円のAIエンジニア人件費を捻出。リスクを抑えながら新領域への挑戦を実現しました。
IT業界への新規参入は大きな可能性と同時に、資金繰りという課題も伴います。ファクタリングを戦略的に活用することで、技術開発に集中しながらも健全な資金繰りを維持し、ビジネスを成長させることが可能です。創業期から成長期へと事業フェーズが変化する中で、ファクタリングの活用方法も進化させていくことが成功の鍵となるでしょう。

