建設業のファクタリング契約で確認すべき重要事項

建設業界向け
社長
社長

建設業を経営していますが、最近資金繰りが厳しくて…ファクタリングを検討しているんですが、契約する際に特に気をつけるべきことってありますか?

アドバイザー
アドバイザー

はい、建設業のファクタリングは資金調達に有効ですが、いくつか重要なポイントがあります。手数料率や支払い条件はもちろん、建設業特有の債権譲渡禁止特約や工事完成リスクなども確認が必要です。

社長
社長

なるほど…でも具体的に何をチェックすればいいのかよくわからなくて。変な契約を結んでしまわないか不安です。

アドバイザー
アドバイザー

その不安、よくわかります。この記事では建設業のファクタリング契約で絶対に確認すべき重要事項を詳しく解説しています。契約前の確認ポイントをマスターして、安心してファクタリングを活用していただけますよ。

建設業界では工事完了から入金までのサイトが長く、資金繰りの改善手段としてファクタリングの利用が広がっています。しかし契約内容を十分理解せずに利用すると、思わぬトラブルに発展することも。建設業特有の事情を踏まえた上で、ファクタリング契約時に必ず確認すべきポイントを解説します。

建設業界におけるファクタリング契約の特徴

建設業界でファクタリングを利用する際は、業界特有の商習慣や債権形態を踏まえた契約内容となっています。まずはその特徴を理解しましょう。

建設業特有の債権形態とファクタリング

建設業の売掛債権は他業種と比較して特殊な性質を持っています。工事の進捗に応じた出来高払いや、検収後の支払いなど複雑な支払条件が一般的です。

例えば、年商3億円の中規模建設会社が手がけた商業施設の改装工事(請負金額5,000万円)では、着工時30%、中間検査時30%、完工時40%という分割払いが設定されていました。このような案件でファクタリングを利用する場合、どの時点の債権を対象とするのかを契約書で明確にすることが重要です。

公共工事の場合は検査合格後の支払いが確定しているため、ファクタリング会社にとって債権の確実性が高く評価されます。一方で民間工事は支払条件が多様なため、契約時に詳細な確認が必要です。

ファクタリング契約の基本的な流れ

建設業でのファクタリング契約は一般的に以下の流れで進みます。

まず審査申込みを行います。工事請負契約書や請求書など必要書類を提出し、ファクタリング会社の審査を受けます。

審査通過後に契約条件の提示があります。手数料率や支払条件などが示されるため、この段階で内容を慎重に確認することが重要です。

契約締結と債権譲渡が行われます。必要書類に署名・押印し、正式に売掛債権をファクタリング会社に譲渡します。

入金が行われます。契約条件に基づいて、即日〜数日以内に売掛金の一部または全額が入金されます。

近畿地方の内装工事会社(年商1億8,000万円)では、毎月の工事完了時に発生する売掛金(平均2,000万円)についてファクタリング契約を結び、審査から入金まで3営業日という流れを確立しています。この会社が特に重視したのは、毎回の契約条件を明確に文書化し、担当者間で共有することでした。

ファクタリング契約書の重要確認項目

ファクタリング契約書には様々な条項がありますが、以下の項目は特に注意して確認すべきポイントです。

契約の種類と譲渡対象債権の明確化

ファクタリング契約には主に2社間(ノンノーティファクタリング)と3社間(ノーティファクタリング)があります。建設業界では取引先との関係維持のため、2社間ファクタリングを選ぶケースが多いですが、それぞれ契約内容が異なります。

2社間契約では債務者(発注者)に債権譲渡を通知しないため、秘密裏に資金調達ができるメリットがあります。しかし手数料が高くなる傾向があるため、契約書の手数料条項を慎重に確認する必要があります。

3社間契約では債務者に債権譲渡通知をするため、建設業では取引関係に影響する可能性があります。契約書には通知方法や通知時期についての記載があるため、自社のビジネスに影響がないかを検討した上で契約しましょう。

譲渡対象債権については、工事請負契約書の番号や日付、金額、支払期日などが契約書に明記されているか確認が必要です。特に部分的に債権譲渡する場合(例:出来高の50%分のみなど)は、その範囲を明確にしておかなければなりません。

中部地方の建設会社では、大型公共工事(1億円)の出来高50%時点で、発生した債権5,000万円のうち4,000万円だけをファクタリングする契約を結びました。しかし契約書にその範囲が明確に記載されていなかったため、後に残りの1,000万円の取扱いで混乱が生じたケースがありました。

手数料と支払条件の詳細確認

ファクタリング契約における最も重要な確認事項の一つが手数料です。建設業界では一般的に5%〜15%程度の手数料率が設定されますが、契約書には以下の点が明記されているか確認しましょう。

手数料の計算方法が明確に記載されているかチェックします。売掛金額に対する定率方式なのか、買取額と支払額の差額方式なのかなど、計算方法によって実質コストが変わる場合があります。

支払条件として、即日払いなのか数日後払いなのかも重要です。即日払いの場合は手数料が高くなるケースが多いため、資金需要の緊急性と手数料のバランスを考慮して選択します。

隠れた費用がないか注意が必要です。契約書に「事務手数料」「審査料」「管理費」などの項目がないか確認し、実質的な総コストを把握しましょう。

東北地方の建設会社(年商2億円)は、複数のファクタリング会社の契約条件を比較した結果、表面上の手数料率は8%と高めでしたが、追加費用が一切ない会社を選択しました。結果として総コストでは最も有利な条件となり、年間約120万円のコスト削減につながりました。

建設業で注意すべき契約条項

建設業特有の事情を考慮すると、特に以下の契約条項には注意が必要です。

遡及権(リコース)条項の理解

ファクタリング契約において「遡及権(リコース)」の有無は非常に重要です。遡及権とは、債務者(発注者)が支払不能になった場合、ファクタリング会社が売掛債権を売却した建設会社に返還を請求できる権利のことです。

リコースファクタリング(遡及権あり)では、債務者が支払わない場合のリスクは建設会社が負います。契約書にはその条件や手続きが記載されているため、債務者の支払い遅延や不払いが生じた場合の自社の責任範囲を理解しておく必要があります。

ノンリコースファクタリング(遡及権なし)では、債務者の支払いリスクはファクタリング会社が負いますが、その分手数料は高くなります。建設業界では発注者の信用力に不安がある場合、手数料が高くてもノンリコース型を選択するケースも少なくありません。

関東地方の建設会社(年商1億5,000万円)は、財務状況が不安定な発注者からの大型案件(3,000万円)についてノンリコース型ファクタリングを選択しました。手数料率は12%と高めでしたが、後に発注者が倒産したため、結果的に360万円の手数料を支払うことで3,000万円の債権回収リスクを回避できたことになります。

期限前支払条項と割引率

建設業界の支払サイトは長期にわたることが多いため、支払期日前に資金化する「期限前支払条項」の内容も重要です。

契約書には支払期日からの日数に応じた割引率が設定されているケースがあります。例えば「支払期日の90日前は10%、60日前は8%、30日前は6%」といった具合です。工事の進捗状況と資金需要のタイミングを考慮し、最適な時期に資金化できるよう条件を確認しましょう。

期限前支払いの申請手続きや必要書類についても契約書に明記されているはずです。特に建設業では工事の進捗証明や検収書類が必要になることが多いため、どのような書類が求められるかを事前に把握しておくことが重要です。

九州地方の建設会社では、大型商業施設の工事(7,000万円、支払期日は完工後60日)において、資材調達のため完工後すぐに資金化する必要がありました。契約時に期限前支払条項を詳細に確認し、「完工証明書」さえあれば即時資金化できることを確認。これにより支払期日の60日前に6,300万円(手数料10%差引後)を受け取ることができました。

建設業特有の契約リスク対策

建設業界ならではの契約リスクに対応するための条項確認ポイントを解説します。

発注者(債務者)との関係維持の条項

建設業では継続的な取引関係が重要であり、ファクタリング利用によって発注者との関係が悪化することは避けたいものです。契約書には発注者とのコミュニケーション方法に関する条項が含まれていることがあります。

3社間ファクタリングの場合、債権譲渡通知の方法や文面について確認します。通知内容は事前に確認できるか、通知のタイミングを調整できるかなどをチェックしましょう。

発注者への請求方法についても明記されているはずです。ファクタリング会社からの督促方法や頻度が過度に厳しいと、取引関係に影響する可能性があります。

北陸地方の建設会社(年商2億5,000万円)は、主要取引先とのファクタリング契約において「債権譲渡通知は建設会社とファクタリング会社の連名で行う」「支払期日の7日前までは督促を行わない」という条項を盛り込むことで、取引関係への影響を最小限に抑える工夫をしていました。

追加工事や変更工事への対応条項

建設業では当初契約になかった追加工事や変更工事が発生することが少なくありません。ファクタリング契約にはそうした事態への対応条項があるか確認しましょう。

追加工事による債権増加時の取扱いについて、追加分も自動的にファクタリング対象になるのか、または別途契約が必要なのかを確認します。

工期延長が発生した場合の対応も重要です。当初予定していた完工日が延びた場合、ファクタリング契約にどのような影響があるのかを理解しておく必要があります。

中国地方の建設会社は、オフィスビル改修工事(当初契約4,000万円)を請け負った際、契約途中で1,500万円の追加工事が発生しました。ファクタリング契約時に「追加工事分は別途審査の上、同条件で対応可能」という条項を入れておいたため、スムーズに追加分も資金化することができました。

契約トラブル事例と防止策

実際に起きた契約トラブルの事例から学ぶことも重要です。

手数料トラブルの実例と対処法

四国地方の内装工事業者(年商9,000万円)は、ファクタリング契約書に「基本手数料8%」と記載されていたものの、実際には「事務手数料2万円」「振込手数料5,000円」などの追加費用が発生し、少額のファクタリング(100万円)では実質手数料率が10%を超えるケースがありました。

この問題を防ぐには、契約書の「費用」に関する条項を隅々まで確認し、基本手数料以外に発生する可能性のある全ての費用について明確にしておくことが重要です。また実質手数料率(すべての費用を含めた総コスト)を計算し、それが許容範囲かどうかを判断しましょう。

同社では契約更新時に「すべての費用を含めた総額を明示する」よう交渉し、契約書に明記してもらうことでトラブルを解消しました。

支払遅延時の責任関係

関東の建設会社(年商3億円)がリコース型(遡及権あり)のファクタリングを利用した際、発注者の支払いが3ヶ月遅延したことで問題が発生しました。契約書には「支払期日から30日以上遅延した場合、ファクタリング会社は建設会社に債権返還を求めることができる」と記載されていたため、急遽2,000万円の返金を求められる事態となりました。

このようなトラブルを防ぐには、契約書の「遅延時の対応」条項を詳細に確認することが重要です。特に以下のポイントに注意しましょう。

支払遅延が発生した場合の通知義務(誰が、いつ、どのように通知するか) 遅延利息の負担者と計算方法 返還請求が発生する具体的な条件と猶予期間 返還請求時の支払方法と期限

同社では次回契約時に「支払遅延の場合、90日間は返還請求を行わない」「返還請求前に必ず協議の機会を設ける」という条項を追加することで、リスク軽減に成功しました。

建設業に最適なファクタリング契約の選び方

建設業の特性を踏まえた最適なファクタリング契約の選び方について解説します。

契約条件の比較ポイント

複数のファクタリング会社から提示される契約条件を比較する際は、以下のポイントに注目しましょう。

審査スピードと必要書類の簡便さは重要なポイントです。建設業では急な資金需要が発生することも多いため、迅速な審査と最小限の書類で対応してくれる会社が望ましいです。

手数料以外のコストも含めた総費用で比較します。表面上の手数料率が低くても、様々な名目の追加費用がある場合は実質コストが高くなることがあります。

支払いサイトと資金化タイミングの柔軟性も重要です。工事の進捗に応じた資金化が可能か、出来高払いに対応しているかなど、建設業の特性に合った条件を提供しているかを確認しましょう。

東海地方の建築会社(年商2億円)は3社のファクタリング会社の契約条件を表にまとめて比較しました。A社は手数料率7%で審査2日、B社は手数料率6%で審査5日、C社は手数料率8%で審査即日という条件でした。同社は定期的な資金需要に対応するためB社を、急な資金需要にはC社を使い分けるという戦略をとっています。

業界特性を理解した契約先の選定

建設業の特性を理解しているファクタリング会社を選ぶことも重要です。以下のような点を確認しましょう。

建設業界の商習慣や契約形態への理解度を確認します。出来高払いや部分払い、検収条件などに精通しているかどうかをチェックしましょう。

建設業特有の書類(工事請負契約書、出来高確認書、検収調書など)に対応しているかも重要です。一般的な請求書や納品書だけでなく、建設業特有の書類で審査できる会社が望ましいです。

公共工事の債権にも対応しているかを確認します。公共工事は支払いの確実性が高いため、有利な条件で利用できる可能性があります。

近畿地方の建設会社(年商1億8,000万円)は、建設業界出身者が設立したファクタリング会社と契約しました。この会社は「出来高60%以上であれば検収前でも資金化可能」「追加工事にも柔軟に対応」など、建設業の実情に合った契約条件を提示してくれたため、長期的な取引関係を構築しています。

契約後のフォローアップと関係維持

ファクタリング契約を結んだ後も、継続的な関係維持とフォローアップが重要です。

定期的な契約見直しのタイミング

ファクタリング契約は定期的な見直しが必要です。建設業界では以下のタイミングでの見直しが効果的です。

年度替わりや決算期は財務状況が変化するタイミングです。自社の信用力向上に伴い、より有利な条件への交渉が可能かもしれません。

大型工事の受注前後も見直しのタイミングとして適しています。資金需要の増大に合わせて契約条件を調整できないか検討しましょう。

競合他社の条件も定期的にチェックします。ファクタリング市場は競争が激しく、条件が改善されていることも少なくありません。

関東の建設会社(年商5億円)では、半年ごとに契約条件の見直しを行い、当初12%だった手数料率を2年かけて7%まで引き下げることに成功しました。定期的な財務改善の報告と、取引実績の積み重ねが交渉材料となりました。

長期的なファクタリング活用戦略

建設業においてファクタリングを単なる資金調達手段ではなく、経営戦略の一部として活用する視点も重要です。

繁忙期と閑散期のキャッシュフローを平準化する手段としての活用法を検討します。季節変動の大きい建設業では、繁忙期の債権を早期資金化して閑散期の運転資金に充てる戦略が有効です。

大型案件と小規模案件のバランスを考慮したファクタリング活用も効果的です。大型案件の一部をファクタリングで資金化し、小規模案件に充てることで、事業の多角化やリスク分散が可能になります。

北海道の建設会社(年商3億円)では「冬季除雪作業の債権をファクタリングで資金化し、春季の公共工事入札資金に充てる」という年間サイクルを確立。この戦略により、年間を通じて安定した経営が可能になりました。また契約書には「年間利用予定額に応じた段階的な手数料率」を明記し、長期的な関係を前提とした有利な条件を引き出すことに成功しています。

建設業におけるファクタリング契約は、業界特有の事情を踏まえた慎重な検討が必要です。契約書の細部まで確認し、自社のビジネスモデルに合った条件を選択することで、資金繰り改善と事業拡大の強力なツールとなるでしょう。


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