建設会社の経営危機をファクタリングで乗り切った事例

建設業界向け
社長
社長

ここ最近、資材高騰に人手不足…建設業界の環境は厳しくなる一方だよ。公共工事の入金サイトも長いし、このままじゃ会社の存続が…

アドバイザー
アドバイザー

多くの建設会社様が同じ悩みを抱えていらっしゃいます。実は経営危機を乗り切るために効果的な資金調達方法としてファクタリングがあるんですよ。

社長
社長

ファクタリング?売掛金を買い取ってもらうやつだよね。でも建設業特有の課題もあるし、本当に経営危機を乗り切れるのかな?

アドバイザー
アドバイザー

おっしゃる通り、建設業には独自の課題があります。この記事では、経営危機に陥った建設会社がファクタリングを活用して実際に復活した事例や、選ぶべきファクタリング会社のポイントを詳しく解説しています。

建設業界は景気変動や季節要因の影響を受けやすく、時に深刻な資金繰り危機に直面することがあります。特に工事代金の支払いサイクルの長さや、材料費・人件費の先行投資の必要性から、一時的な資金ショートが経営危機に発展するケースも少なくありません。そんな厳しい状況を打開する選択肢として、近年注目されているのがファクタリングです。売掛金を早期に現金化することで急場を凌ぎ、事業継続の道を切り開いた建設会社の実例から、経営危機脱出のヒントを探ります。

建設業界で経営危機が発生しやすい背景

建設業界では様々な要因から経営危機が発生しやすい環境にあります。

長い入金サイクルと先行投資の必要性

建設業界の支払いサイクルは非常に長く、工事完了から入金までに60〜90日かかることが一般的です。例えば、年商2億円の中堅建設会社でも、月間1500万円程度の売上に対して、実際の入金は2〜3ヶ月先になることがほとんどです。

一方で、工事着手時には資材費や外注費などの支出が先行して発生します。一般的な内装工事では、工事金額の50〜70%が着工から1ヶ月以内に必要となるケースも珍しくありません。

季節変動と天候リスク

建設業界は季節や天候の影響を強く受けます。特に屋外工事を主としている会社では、雨季や冬期の工事減少により収入が大幅に減少することがあります。例えば、年商1億円の土木工事会社では、冬期の売上が通常月の50%以下に落ち込むことも珍しくありません。

発注元の経営悪化や倒産リスク

建設業は元請け・下請け構造が複雑で、発注元の経営悪化や倒産が連鎖的に影響します。実際に、経済状況の悪化時には建設関連の倒産が増加する傾向があり、売掛金が回収不能になるリスクも高まります。

金融機関の融資姿勢の厳格化

建設業は景気変動の影響を受けやすい業種として、金融機関の融資姿勢が厳しい傾向にあります。特に経営状況が悪化している場合、追加融資を受けることが困難になり、資金繰りがさらに悪化するという悪循環に陥りやすいのです。

ファクタリングとは何か

建設業界でのファクタリングの基本的な仕組み

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金を、ファクタリング会社が買い取ることで即時に資金化するサービスです。建設業界では、工事完了後に発生する売掛金(工事代金請求権)を現金化することで、入金を待たずに資金を調達できます。

買取額は売掛金額から手数料を差し引いた金額となりますが、通常3日〜1週間程度で資金化が可能です。これにより、入金サイクルの長さによる資金繰りの悪化を防ぐことができます。

建設業向けファクタリングの特徴

建設業特有の契約形態や支払条件に対応したファクタリングサービスがあります。出来高払いや部分払いなどの段階的な支払い方式にも対応可能で、工事の進捗に合わせた資金調達が可能です。

また、官公庁発注の公共工事や大手ゼネコンとの取引など、信用力の高い相手先への売掛金は、比較的好条件でファクタリングができる傾向があります。

経営危機に陥ったC建設の事例

年商1億2000万円のC建設は、商業施設やオフィスビルの内装工事を主力事業とする創業15年の会社です。安定した事業を展開していましたが、ある年に重なる困難から深刻な経営危機に直面しました。

経営危機の発生状況

C建設の経営危機は複数の要因が重なって発生しました。

まず、主要取引先だった不動産デベロッパーの経営悪化により、予定されていた大型案件(6000万円規模)の発注が突然キャンセルとなりました。この案件のために確保していた職人や資材の手配変更に伴うキャンセル料などで約800万円の予期せぬ支出が発生しました。

さらに同時期に、別の完了済み工事(4500万円)の代金支払いが発注元の資金繰り悪化により90日以上遅延するという事態が発生しました。

加えて、2件の進行中工事(合計3200万円)があり、これらの資材費や外注費として約2000万円の支出が迫っていました。

銀行の当座貸越枠(2000万円)はすでに使い切っており、追加融資の申し込みも「返済見通しが立たない」という理由で保留されていました。

この状況で、2週間以内に支払うべき外注業者への支払い約1500万円が迫っており、資金ショートの危機に直面していました。

ファクタリング導入の検討プロセス

C建設の経営者は危機打開のために様々な選択肢を検討しました。

まず銀行に事情を説明し、追加融資を打診しましたが、審査に最低でも3〜4週間かかると言われ、緊急の資金需要に間に合いませんでした。

次に、取引先への支払い猶予を交渉しましたが、外注業者も資金繰りが厳しく、大幅な猶予は得られませんでした。

最終的に、経営コンサルタントのアドバイスを受け、ファクタリングを検討することにしました。完了済み工事の売掛金4500万円と、進行中の2工事のうち1件(1800万円)の出来高部分(約70%完了で1260万円)をファクタリングで資金化する計画を立てました。

具体的なファクタリング活用方法

C建設は以下のようにファクタリングを活用しました。

完了済み工事(4500万円)については、2社間ファクタリングを利用しました。手数料率は14%で、実際に受け取った金額は3870万円でした。売掛先への通知が不要な2社間ファクタリングを選択したのは、取引関係への影響を最小限にするためでした。

進行中工事の出来高部分(1260万円)については、元請け企業と相談の上、3社間ファクタリングを利用しました。手数料率は10%で、受け取った金額は1134万円でした。元請け企業の理解を得られたため、手数料の低い3社間ファクタリングが可能になりました。

合計で5004万円のファクタリングにより、約5000万円の資金を調達できました。手数料総額は756万円でした。

ファクタリング利用の効果と企業の回復プロセス

ファクタリングで調達した資金により、C建設は迫っていた外注業者への支払い1500万円を期日通りに実行できました。また、進行中工事2件の継続に必要な資材費約500万円も確保できました。

残りの資金約3000万円は、今後の支払いと運転資金として確保。これにより、受注営業活動を継続できる体制を維持できました。

資金繰りの安定により、社内の雰囲気も改善し、従業員のモチベーション低下を防ぐことができました。実際、危機発生から3ヶ月後には新規案件を2件(合計3500万円)受注することに成功しています。

半年後には、当初キャンセルとなった大型案件の発注元デベロッパーが経営再建し、規模を縮小した形(3500万円)で案件が復活。これにより業績回復が加速しました。

ファクタリング利用から1年後には、年商が前年比110%の1億3200万円まで回復。銀行融資も正常化し、当座貸越枠も3000万円に増額されました。

経営危機時のファクタリング活用のポイント

ファクタリング会社の選定基準

経営危機時には、迅速な対応が可能なファクタリング会社を選ぶことが重要です。審査から入金までのスピード、必要書類の簡素さ、担当者の対応力などを重視しましょう。

また、建設業界の特性を理解しているファクタリング会社を選ぶことも大切です。出来高払いや部分払いなどの建設業特有の支払形態に対応できる会社、公共工事の経験が豊富な会社などが望ましいでしょう。

複数のファクタリング会社から見積もりを取得し、手数料率や条件を比較することも忘れないでください。経営危機時こそ、調達コストを少しでも抑える努力が必要です。

売掛先との関係維持に配慮した利用法

経営危機時でも取引先との関係維持は最重要です。状況に応じて、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングを使い分けることが有効です。

信頼関係のある主要取引先であれば、状況を説明し、3社間ファクタリングへの協力を依頼することで、手数料を抑えられる可能性があります。実際に多くの元請け企業は、優良な下請け企業の経営危機を回避するために協力的な姿勢を示すことがあります。

一方、取引関係が浅い相手や、経営状況を知られたくない相手に対しては、2社間ファクタリングを利用することで、取引関係への影響を最小限に抑えることができます。

経営再建計画との整合性

ファクタリングは一時的な資金繰り改善策であり、経営の根本的な改善がなければ、手数料負担により経営状況が悪化する可能性があります。そのため、経営再建計画と整合性を取りながら活用することが重要です。

例えば、ファクタリングで調達した資金の一部を、収益性の高い新規案件の獲得や、コスト削減につながる設備投資など、将来の収益改善に繋がる施策に投じることが重要です。

C建設の場合も、調達資金の約60%を当面の支払いに充てる一方で、残りの40%を運転資金として確保し、受注活動を継続できる体制を維持しました。この戦略が新規案件獲得につながり、経営再建の基盤となりました。

経営危機脱出後の財務体質強化策

ファクタリングからの段階的な移行

経営危機を脱出した後は、コストの高いファクタリングから段階的に脱却し、より低コストの資金調達手段に移行することが望ましいです。

例えば、売上が回復してきた段階で、全ての売掛金をファクタリングするのではなく、一部のみをファクタリングし、残りは通常の入金サイクルで回収するなどの調整が可能です。C建設の場合、危機脱出から6ヶ月後には、ファクタリング利用額を売掛金全体の30%程度まで減らすことに成功しました。

銀行との関係修復も重要です。ファクタリングで危機を乗り切った実績をもとに、経営改善計画を提示し、融資条件の見直しや融資枠の拡大を交渉しましょう。

安定した資金計画の構築

売上の季節変動を考慮した年間資金計画の作成が重要です。例えば、繁忙期の利益の一部を積み立て、閑散期の運転資金に充てるなどの長期的視点での資金管理が必要です。

また、入金サイクルの改善交渉も効果的です。工事の部分払いや中間金の設定など、キャッシュフローを改善する契約条件の交渉を積極的に行いましょう。C建設では、主要取引先との間で、大型案件(3000万円以上)については中間金の支払い(30%)を受ける契約に変更することに成功しました。

別の経営危機事例:公共工事の支払い遅延でファクタリングを活用したD工務店

年商8000万円のD工務店は、公共施設の改修工事を主な事業としています。ある年、自治体との4500万円の公共工事で予期せぬ事態が発生し、経営危機に陥りました。

直面した危機状況

D工務店は自治体からの学校改修工事(4500万円)を受注し、予定通り工事を完了しました。しかし、自治体側の予算執行手続きの遅延により、入金が当初予定から2ヶ月遅れることが判明しました。

このタイミングで、2件の民間工事(合計3000万円)が同時に始まる予定があり、先行投資として約1800万円の資金が必要でした。さらに、工事に使用した資材の支払い(約2000万円)が迫っていました。

銀行の融資枠(1500万円)はすでに使い切っており、追加融資も短期間では難しい状況でした。資金ショートすれば、新規工事に着手できず、取引先からの信用も失うという危機状態でした。

ファクタリング活用の内容

D工務店は公共工事の完了証明書と請求書をもとに、公共工事専門のファクタリング会社に相談しました。公共工事は支払い確実性が高いため、比較的有利な条件でファクタリングが可能でした。

4500万円の売掛金に対して、手数料率は8%(360万円)で買取りが成立。実際に受け取った金額は4140万円でした。審査から入金まで5営業日で完了し、迅速な資金調達が実現しました。

危機脱出と経営改善

調達した資金により、資材業者への支払いと新規工事の着手資金を確保できました。新規工事2件も予定通り着工でき、取引先との信頼関係も維持できました。

この経験から、D工務店は資金計画を見直し、公共工事と民間工事のバランスを調整する経営方針を確立しました。具体的には、公共工事の比率を全体の50%以下に抑え、資金回収サイクルの異なる案件を組み合わせることで、資金繰りリスクを分散する戦略を採用しました。

また、小規模ながらも確実に入金が見込める案件(500万円〜1000万円規模)を一定数確保することで、安定した資金繰りの基盤を作りました。

ファクタリング利用から1年後には、手元資金を増やし、短期の資金需要に対応できる体制を整備。その結果、安定した経営基盤を構築することに成功しました。

ファクタリング活用の注意点とリスク管理

コスト負担を考慮した戦略的利用

ファクタリングは迅速な資金調達が可能ですが、手数料コストは比較的高額です。一般的に売掛金額の8〜20%程度の手数料がかかるため、収益性を圧迫する可能性があります。

経営危機時の緊急措置としての利用に留め、状況が改善したら徐々に利用頻度を減らすことが望ましいです。例えば、全ての売掛金ではなく、必要最低限の金額だけをファクタリングに回す方法も検討しましょう。

また、ファクタリング会社の選定においても、手数料率の比較検討が重要です。特に経営危機時は無理な条件を呑まされやすいため、複数社から見積もりを取り、比較検討することをお勧めします。

契約内容の慎重な確認

ファクタリング契約では、手数料以外にも様々な条件があります。特に以下の点に注意して契約内容を確認しましょう。

遡及権(売掛先が支払わなかった場合の責任範囲) 追加費用の有無(事務手数料、振込手数料など) 契約期間と更新条件 早期解約時のペナルティの有無

経営危機時は特に、契約書の細部まで確認する余裕がない場合がありますが、後々のトラブルを避けるためにも重要なポイントは必ず確認しましょう。

取引先への影響を考慮した利用

ファクタリングの利用が取引先に与える印象も考慮する必要があります。特に3社間ファクタリングの場合、売掛先に自社の資金繰り状況が知られることになります。

信頼関係が築けている取引先であれば問題ないケースも多いですが、新規取引先や、特に重要な大口取引先に対しては、慎重な対応が必要です。必要に応じて2社間ファクタリングを選択し、取引関係への影響を最小限に抑えることも検討しましょう。

建設業界の経営危機は様々な要因から発生しますが、ファクタリングを適切に活用することで危機を乗り切り、事業継続の道を開くことが可能です。特に、入金サイクルの長さや先行投資の必要性という建設業特有の課題に対して、ファクタリングの即時性は大きな武器となります。

しかし、高コストな資金調達手段であることを認識し、経営再建計画の中で段階的に依存度を下げていく戦略が重要です。危機を乗り切った後は、安定した資金計画の構築や、融資など低コストの資金調達手段への移行を進めることで、より強固な経営基盤を構築できるでしょう。

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