
IT企業を経営しているんだけど、新しいプロダクト開発のための先行投資で一時的に赤字になっていて…。将来性のある案件はいくつか進行中で売掛金も発生しているんだけど、銀行からは「赤字だから」と融資を断られてしまったんだよね。でも人件費や開発費用は待ってくれないし、この資金繰りをどうにかしないと。

IT業界特有の課題ですね。特に成長フェーズや新規事業への投資期は一時的な赤字が発生しやすいですが、通常の金融機関は決算書の数字だけで判断してしまうことが多いですよね。

そうなんだよ。技術力はあるし、大手クライアントとの契約もあるんだけど、まだ入金になっていない売掛金が多くて…。赤字企業でも資金調達できる方法ってあるのかな?

IT業界特化型のファクタリングサービスなら、赤字企業でも利用できる可能性が高いですよ。この記事では、決算書ではなく売掛金や取引先の信用力を重視するファクタリングサービスの選び方や、赤字でも審査に通りやすくするポイント、実際の成功事例まで詳しく解説しています。一時的な赤字を乗り越えて成長軌道に乗せるための具体的な資金調達戦略が学べる内容になっていますよ。
IT業界では優れた技術力や将来性があっても、赤字経営に悩む企業は少なくありません。開発投資が先行する事業構造や長期にわたる入金サイクルが資金繰りを圧迫する一方、従来の金融機関からの融資は赤字企業には厳しい現実があります。しかし近年、IT業界の特性を理解したファクタリングサービスが登場し、赤字企業でも利用できる資金調達手段として注目されています。本記事ではIT企業が赤字でもファクタリングを活用するための審査基準と申込のポイントを詳しく解説します。
赤字IT企業が直面する資金調達の壁
まずはIT企業が赤字になりがちな構造的要因と、従来の資金調達手段の限界について理解しましょう。
IT企業特有の赤字構造
IT企業、特にスタートアップやソフトウェア開発会社は以下のような理由から一時的な赤字になりやすい特徴があります。
開発投資の先行:新製品やサービス開発には多額の先行投資が必要です。例えば年商1億円規模のソフトウェア企業でも、新規プロダクト開発に2000万円〜3000万円の投資が必要になることがあり、収益化までに1年以上かかるケースも珍しくありません。
入金サイクルの長期化:大手企業との取引では、納品から入金までに60日〜90日かかることが一般的です。プロジェクト型の受託開発では、開発期間中のコスト(人件費など)は発生し続けるにもかかわらず、売上計上と入金は完了時にならないと実現しません。
成長投資の必要性:IT業界では急速な技術革新に対応するための継続的な投資(人材採用や教育、研究開発など)が必要です。これらの投資は短期的には利益を圧迫する要因となります。
従来の資金調達手段の限界
赤字IT企業が従来の方法で資金調達を行おうとすると、以下のような壁に直面します。
銀行融資の審査基準:銀行融資では財務状況、特に利益の安定性が重視されます。赤字企業は基本的に融資の審査が通りにくく、通ったとしても条件が厳しくなる傾向があります。
担保の問題:IT企業は有形資産が少なく、主な資産は知的財産やコードベースなどの無形資産です。これらは従来の金融機関では担保として評価されにくいという課題があります。
資金調達の時間的制約:ベンチャーキャピタルなどからの調達は時間がかかります。急な資金需要に対応できないケースが多いです。
IT業界特化型ファクタリングとは
このような状況を背景に登場したのが、IT業界の特性を理解したファクタリングサービスです。
ファクタリングの基本的な仕組み
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金を早期に現金化するサービスです。基本的な流れは以下の通りです。
- 企業がファクタリング会社に売掛金の買取を依頼
- ファクタリング会社が審査を実施
- 審査通過後、売掛金額から手数料を差し引いた金額が即時に支払われる
- 支払期日に取引先から入金される
例えば1000万円の売掛金がある場合、ファクタリングを利用すれば手数料(30万円〜50万円程度)を差し引いた950万円前後を即日〜数日で受け取ることができます。
IT業界特化型ファクタリングの特徴
IT業界特化型のファクタリングサービスには以下のような特徴があります。
業界特有の取引形態への理解:準委任契約やSLA(サービスレベル契約)など、IT業界特有の契約形態や請求サイクルを理解しているため、柔軟な対応が可能です。
売掛金よりも取引先の評価重視:IT企業自体の財務状況よりも、取引先(売掛先)の信用力を重視します。大手企業や官公庁との取引があれば、赤字企業でも利用しやすい傾向があります。
開発フェーズに応じた柔軟な対応:開発進捗や検収状況に応じた段階的なファクタリングが可能です。例えば、大型プロジェクトの中間納品時点での部分的なファクタリングなどにも対応します。
無形資産の評価:優れた技術力や開発チームの実績など、無形の資産も評価の対象となります。
赤字IT企業でも審査に通るためのポイント
赤字企業でもファクタリングの審査に通るためのポイントを解説します。
取引先(売掛先)の信用力が最重要
ファクタリングでは、申込企業の財務状況よりも取引先の信用力が重視されます。以下のような取引先との関係がある場合、赤字でも審査に通りやすくなります。
大手企業や上場企業との取引:安定した財務基盤を持つ大企業との取引実績があれば、ファクタリングの審査で有利に働きます。
官公庁や地方自治体との取引:公的機関は支払い能力が高く評価されるため、これらとの取引があれば審査通過率が高まります。
継続的な取引関係:一度きりの取引ではなく、定期的・継続的な取引関係がある場合、安定性が評価されます。
年商1億2000万円、当期純利益-1500万円の赤字IT企業であっても、取引先に大手上場企業が複数あり、継続的な取引実績があれば、2000万円程度の売掛金に対するファクタリングが承認されたケースもあります。
プロジェクトの実在性と進捗状況の証明
売掛金の基となるプロジェクトが確実に存在し、正常に進行していることを証明できれば、赤字でも審査に通りやすくなります。
契約書や発注書の完備:正式な契約書や発注書が存在し、取引条件が明確であることが重要です。
開発進捗の可視化:進捗報告書やマイルストーン達成の証明など、プロジェクトが計画通りに進んでいることを示す資料が有効です。
検収見込みの明確化:最終的な検収時期や条件が明確であり、問題なく完了する見込みがあることを示せると良いでしょう。
開発実績の証明:過去の類似プロジェクトの完遂実績があれば、技術力の証明になります。
赤字の理由と改善見通しの説明
現在赤字である理由と、将来的な改善見通しを合理的に説明できることも重要です。
戦略的投資による一時的赤字:研究開発や人材採用など、将来の成長のための戦略的投資による一時的な赤字であることを説明できれば評価されます。
赤字改善の具体的計画:いつ、どのようにして黒字化する見込みなのか、具体的な数値目標と行動計画があると良いでしょう。
既存案件の収益性:赤字でも個別のプロジェクト自体は収益性があることを示せれば、ファクタリングの審査では有利に働きます。
キャッシュフロー管理能力:全社的には赤字でも、キャッシュフロー管理が適切に行われていることを示す資料があれば信頼性が高まります。
成功事例:赤字経営下でファクタリングを活用したA社の例
ここでは年商8000万円、従業員10名のウェブシステム開発会社A社の事例を紹介します。A社は将来有望な自社サービス開発投資により一時的な赤字に陥りながらも、ファクタリングを活用して資金繰りを改善した事例です。
A社の事業状況と課題
A社は中小企業向けのウェブシステム開発を主力事業としていました。堅実な受託開発で安定した収益を上げていましたが、約1年前から自社開発のクラウドサービスへの投資を開始。開発費用とマーケティング費用で年間2500万円の投資を続けた結果、当期は1800万円の赤字に転落していました。
直面していた主な課題は以下の通りです。
キャッシュフローの悪化:自社サービス開発の投資が続く中、運転資金が逼迫していました。手元資金は約300万円まで減少していました。
大手企業との新規案件:大手製造業B社から基幹システム開発案件(契約金額3000万円)を新規で受注しましたが、着手金は全体の20%(600万円)のみで、残りは中間納品(30%)と最終納品(50%)後の支払いという条件でした。
開発リソースの確保:新規案件のために追加の開発者2名(月額人件費120万円)が必要でしたが、資金不足で採用を躊躇していました。
銀行融資の限界:赤字決算のため、メインバンクからの追加融資は断られていました。
ファクタリング会社との交渉プロセス
A社は資金繰り改善のためにファクタリングの活用を検討しました。以下のようなプロセスで交渉を進めました。
まず複数のファクタリング会社に相談しましたが、一般的なファクタリング会社からは「赤字企業は対象外」と断られるケースが多かったです。
そこでIT業界特化型のファクタリングサービスC社に相談したところ、「取引先とプロジェクトの内容次第で検討可能」との回答を得ました。
C社への申込時に以下の資料を提出しました。
- 会社概要と決算書(赤字であっても提出)
- B社との契約書と発注書
- 過去のB社関連案件の実績資料
- プロジェクト計画書と進捗状況
- 自社サービスの開発状況と今後の収益計画
特に力を入れたのは、B社の信用力(上場企業であり過去の支払い遅延なし)と、過去2年間で3件のプロジェクトを完遂した実績の証明でした。
審査結果と資金繰り改善効果
C社による審査の結果、以下の条件でファクタリングが承認されました。
対象売掛金:B社案件の中間納品分(900万円)と最終納品分(1500万円) 手数料率:中間納品分3.8%、最終納品分4.0%(一般的な料率より若干高め) 契約形態:2社間ファクタリング(B社には知られない形式)
中間納品後すぐにファクタリングを実行し、手数料34.2万円を差し引いた865.8万円を受け取りました。この資金で以下のような改善ができました。
追加開発者2名の採用と3ヶ月分の人件費確保(360万円) 運転資金の確保(500万円程度)
最終納品後も同様にファクタリングを実行し、手数料60万円を差し引いた1440万円を受け取りました。
導入後の成果
ファクタリング活用の結果、A社には以下のような成果がもたらされました。
プロジェクトの順調な進行:必要な開発リソースを確保できたことで、B社案件を納期通りに完了。顧客からの高い評価を獲得し、追加案件の受注にもつながりました。
自社サービスの継続開発:運転資金を確保できたことで、自社サービスの開発も予定通り進行。その後6ヶ月で正式リリースし、月間売上100万円を達成しました。
黒字化への道筋:ファクタリングによる資金繰り改善と自社サービスのリリースにより、翌期は黒字転換の見通しが立ちました。
ファクタリング手数料合計は約95万円でしたが、それによって得られた事業機会の価値ははるかに大きく、結果的に効果的な投資となりました。
IT業界特化型ファクタリングの申込手順と必要書類
ここではIT業界特化型ファクタリングの具体的な申込手順と必要書類について解説します。
基本的な申込手順
IT業界特化型ファクタリングの一般的な申込手順は以下の通りです。
- 相談・問い合わせ:まずはファクタリング会社に相談し、自社の状況に合ったサービスがあるか確認します。
- 見積もり取得:条件(手数料率、対象売掛金、必要書類など)の提示を受けます。複数社から見積もりを取得して比較するのがおすすめです。
- 必要書類の提出:審査に必要な書類を揃えて提出します。
- 審査:ファクタリング会社による審査が行われます。IT業界特化型の場合、取引先評価や案件内容の審査に1〜3営業日程度かかります。
- 契約締結:審査通過後、ファクタリング契約を締結します。
- 資金化:契約完了後、通常1〜2営業日以内に指定口座に入金されます。
通常のファクタリングとの違いと必要書類
IT業界特化型ファクタリングでは、一般的なファクタリングと比較して、以下のような追加書類や特徴があります。
基本書類(共通):
- 登記簿謄本
- 決算書(直近2〜3期分)
- 会社概要資料
- 取引先との契約書・発注書
- 請求書・納品書
IT業界特有の追加書類:
- プロジェクト計画書
- 開発進捗報告書
- 検収予定スケジュール
- 過去の類似案件の実績資料
- 技術力を証明する資料(開発実績、技術者のスキルマトリクスなど)
- SLA(サービスレベル契約)や準委任契約の詳細
赤字企業の場合の補足資料:
- 赤字の理由と改善計画書
- キャッシュフロー予測
- 取引先の信用情報(可能な範囲で)
- 受注見込み案件の情報
A社の場合、通常の書類に加えて開発チームの実績資料と技術スタック説明資料を提出し、技術力の高さをアピールしました。これが審査通過の決め手の一つになったと考えられます。
申込時の審査基準と評価ポイント
IT業界特化型ファクタリングの審査では、どのような点が評価されるのでしょうか。赤字企業でも通過するための重要ポイントを解説します。
取引先の評価基準
取引先(売掛先)の評価は以下のような基準で行われます。
企業規模と信用力:上場企業や大手企業、官公庁などの信用力の高い取引先であるほど評価が高くなります。特に「上場企業」「創業10年以上」「従業員100人以上」といった条件を満たす企業との取引は有利に働きます。
取引実績:過去の取引回数や継続期間も重要な評価ポイントです。初めての取引先よりも、複数回の取引実績がある取引先の方が評価されます。
支払い履歴:過去の支払いが期日通りに行われてきたかも重視されます。支払い遅延がないことを示す資料があれば提出するとよいでしょう。
案件予算の確実性:案件の予算が確定しており、支払い能力に問題がないことが明確であれば評価が高まります。
プロジェクト・案件の評価基準
対象となるプロジェクトや案件の評価は以下のような観点で行われます。
契約の明確性:正式な契約書が存在し、納品条件や支払い条件が明確に定められていることが重要です。口頭約束やあいまいな契約条件では審査が通りにくくなります。
進捗状況と実現可能性:プロジェクトが計画通りに進行しており、予定通りの完了が見込めることが評価されます。進捗報告書や中間成果物などで証明できるとよいでしょう。
技術的難易度と対応能力:案件の技術的難易度と、それに対応できる技術力・実績があることを示せれば評価が高まります。
収益性:プロジェクト単体での収益性も評価ポイントです。会社全体では赤字でも、対象案件が適正な利益率を確保できることを示せれば有利です。
IT企業自体の評価ポイント
申込企業自体の評価では、赤字でも以下のような点が評価されます。
技術力と実績:過去の開発実績や技術力の高さは、赤字を補う重要な評価ポイントになります。特に類似案件の成功実績があれば強みになります。
経営者の資質:経営者の業界経験や技術バックグラウンド、事業への理解度も評価対象です。面談などで誠実さや専門性をアピールすることも重要です。
人材リソース:プロジェクト遂行に必要な人材(質と量)が確保されていることも評価されます。キーパーソンの経歴や実績を示す資料も有効です。
キャッシュフロー管理能力:赤字でもキャッシュフローを適切に管理していることを示せれば、信頼性向上につながります。
赤字IT企業がファクタリングを活用する際の注意点
最後に、赤字IT企業がファクタリングを活用する際の注意点とリスク管理について解説します。
コスト管理と利用計画
ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、手数料が比較的高いのも事実です。以下のようなコスト管理が重要です。
総コストの把握:手数料率だけでなく、事務手数料や契約手数料なども含めた総コストを把握しましょう。赤字企業の場合、一般的な料率よりも0.5%〜1.5%程度高く設定されることがあります。
収益計画への組み込み:ファクタリング手数料を含めた収支計画を立て、案件全体での収益性を確保することが重要です。例えば手数料分を見越した価格設定の検討なども必要です。
利用頻度と金額の最適化:すべての売掛金をファクタリングするのではなく、本当に必要な金額だけを対象とすることでコストを抑制できます。
A社では3000万円のプロジェクト全体の収支計画にファクタリング手数料(約95万円)も組み込み、それでも適正な利益が確保できることを確認した上で利用を決定しました。
取引先との関係管理
ファクタリングを利用する際は、取引先との関係にも注意が必要です。
2社間ファクタリングの活用:取引先に知られたくない場合は、2社間ファクタリングを選択しましょう。手数料は若干高くなりますが、取引関係への影響を避けられます。
情報管理の徹底:ファクタリング利用の事実や関連書類の管理を徹底し、情報漏洩を防ぐことが重要です。
契約条件の確認:ファクタリング会社によっては、取引先への通知が条件となっている場合もあります。契約前に必ず確認しましょう。
A社は顧客関係を最重視し、手数料が高くなるデメリットはあっても2社間ファクタリングを選択しました。これにより取引先に知られることなく資金調達を実現しています。
依存度管理と出口戦略
ファクタリングは一時的な資金調達手段として活用し、長期的には財務体質の改善を目指すことが重要です。
依存度の管理:ファクタリングへの過度な依存は避け、徐々に利用比率を下げていく計画を持ちましょう。
黒字化への道筋:ファクタリングで得た資金を有効活用し、できるだけ早期に黒字化を達成することが重要です。具体的な黒字化計画とマイルストーンを設定しましょう。
他の資金調達手段への移行:財務状況の改善に伴い、より低コストの資金調達手段(銀行融資など)への移行も検討しましょう。
A社ではファクタリング利用開始と同時に「1年以内の黒字化」「2年以内のファクタリングからの卒業」という明確な目標を設定し、着実に実行に移していました。
IT企業が一時的な赤字に陥っても、優れた技術力と確かな案件があれば、ファクタリングを活用して資金繰りを改善することは可能です。IT業界特化型のファクタリングサービスを選び、審査のポイントを押さえた申込準備を行うことで、成長投資を継続しながら経営危機を乗り越えることができるでしょう。

