
ここ数年、取引先の海外移転や原材料の高騰で業績が思わしくなくて…正直、赤字続きなんだ。銀行には相手にもされないし、資金繰りがかなり厳しい状況なんだよね。

製造業は固定費が高く、一度赤字に転落すると立て直しが大変ですよね。資金調達の選択肢も限られてしまいますし。

そうなんだよ。でも受注自体はあるんだ。ただ、材料費や人件費の支払いが先にあって、入金までの期間が長くて…このままじゃ、せっかくの受注も断らないといけなくなるかも。

実は、そういった赤字経営の製造業でも利用できるファクタリングサービスがあるんです。

えっ?赤字企業でもファクタリングが使えるの?普通、赤字だと審査に通らないって聞いていたけど…

はい、製造業の特性に特化したファクタリングサービスなら可能なんですよ。この記事では、赤字でも利用できる製造業向けファクタリングの具体的な活用法と審査のポイントを解説しています。再建に向けた資金繰りの改善策として参考になるはずです。
製造業を営む企業にとって、売掛金の回収サイクルの長さは常に資金繰りの課題となっています。特に中小製造業では、大手取引先への納品から入金までに60日、90日、時には120日以上かかることも珍しくない中、原材料調達や人件費などの支出は待ってくれません。
さらに、一時的な業績不振や赤字決算の場合、銀行融資が厳しくなり資金調達の選択肢が狭まってしまいます。このような状況下で注目されているのが「製造業特化型ファクタリングサービス」です。赤字決算でも、取引先の信用力を重視した審査が行われるため、融資より利用できる可能性が高く、多くの製造業が資金繰り改善に活用しています。
製造業における赤字時の資金調達課題
まずは、製造業特有の資金調達課題と、赤字時に直面する困難について理解を深めましょう。
赤字決算時の銀行融資の厳格化
製造業が赤字決算を出すと、銀行融資の審査は格段に厳しくなります。特に中小製造業では、一時的な受注減や原材料価格の高騰、大口不良債権の発生などが原因で赤字に転落するケースが少なくありません。
ある金属加工メーカー(年商3億円)では、主要取引先の業績悪化による受注減で単年度赤字(約2000万円)となりました。メインバンクに運転資金として3000万円の融資を申請しましたが、「赤字企業への新規融資は困難」との理由で謝絶されました。既存融資の返済原資も不足する厳しい状況で、新たな資金調達手段が必要となっていました。
取引先への影響と信用不安のリスク
赤字決算が継続すると、取引先への影響も懸念されます。信用不安から新規取引や継続受注が減少するリスクがあるため、資金繰りの問題を表面化させないことも重要です。
ある自動車部品メーカー(年商4億5000万円)は、新工場の立ち上げコストにより2期連続の赤字となりました。支払いの遅延が発生すると取引先の信用を失うリスクがあったため、外部からの緊急の資金調達が必要でした。しかし、銀行融資は難しく、かといって取引先に資金繰りの苦しさを知られたくないという状況でした。
設備投資や研究開発の停滞
赤字期間中は、銀行融資が制限されることで、将来への投資である設備投資や研究開発費の捻出が難しくなります。これが競争力低下につながる懸念もあります。
ある精密機械部品メーカー(年商2億8000万円)では、主力製品の競争激化により一時的な赤字に陥りました。次世代製品開発のための研究開発費(約3000万円)が必要でしたが、赤字を理由に銀行からの資金調達ができず、研究開発の遅延が競争力低下につながる悪循環に陥る恐れがありました。
製造業特化型ファクタリングの特徴と審査基準
次に、製造業特化型ファクタリングサービスの特徴と、その審査基準について詳しく見ていきましょう。
製造業の商習慣に特化した審査基準
製造業特化型ファクタリングサービスは、製造業の商習慣や取引構造を深く理解しているため、一般的なファクタリングとは異なる審査基準を持っています。
納品完了まで:一般的なファクタリングでは「納品完了・検収済み」の売掛金が対象となりますが、製造業特化型では「発注確定・製造中」の段階からファクタリングが可能なケースもあります。
長期取引重視:製造業は長期継続的な取引が多いため、取引実績の期間や安定性が重視されます。
検収条件の柔軟性:製造業特有の厳格な検収条件にも柔軟に対応するサービスが多いです。
赤字企業でも重視される審査ポイント
赤字企業であっても、以下のポイントが高く評価されれば、ファクタリングの審査に通過する可能性が高まります。
取引先の信用力:大手上場企業や公的機関などの信用力の高い取引先への売掛金であれば、自社の業績より取引先の支払い能力が重視されます。
継続的な取引実績:同一取引先との長期間(1年以上)の安定した取引実績があれば、一時的な赤字は問題視されにくくなります。
受注の確実性:発注書や契約書など、受注の確実性を証明できる書類がある場合、高く評価されます。
ある樹脂成形部品メーカー(年商3億円)は2期連続赤字でしたが、大手電機メーカーとの5年以上の取引実績があり、月間約2000万円の安定した受注があったため、製造業特化型ファクタリングサービスの審査に通過することができました。
製造業特有の売掛債権評価ポイント
製造業特化型ファクタリングでは、売掛債権の特性も詳細に評価されます。
業界別のリスク評価:自動車、電機、機械など業界特性に応じたリスク評価が行われます。
取引サイクルの理解:製造業特有の長い製造期間や支払いサイクルを考慮した評価が行われます。
製品の汎用性:カスタム製品より汎用性の高い製品の売掛金の方が評価されやすい傾向があります。
ある金属加工メーカーでは、赤字決算ながらも評価されたポイントとして「大手建機メーカー向けの標準部品であり、代替供給先が限られる」という製品特性があったといいます。製品の重要性と取引先の依存度が高く評価された結果、ファクタリングの審査に通過しました。
赤字企業が申し込むためのポイントと必要書類
製造業特化型ファクタリングサービスに申し込む際の具体的なポイントと必要書類について解説します。
事前準備と申込の基本ポイント
赤字企業がファクタリングを申し込む際のポイントは以下の通りです。
最適なタイミング:決算直後より、業績回復の兆しが見えてきた時期の方が審査が通りやすい傾向があります。
信用力の高い取引先の選定:複数の取引先がある場合、上場企業など信用力の高い取引先への売掛金を選んで申請します。
適切な金額設定:初回は全額ではなく、必要最小限の金額(例:売掛金の50~70%程度)で申し込むことで承認率が高まります。
ある産業機械部品メーカー(年商2億5000万円)は、赤字決算後、まず大手メーカーへの売掛金約2000万円のうち1000万円をファクタリング申請。承認後、徐々に金額を増やしていきました。このステップアップ方式により、最終的には月間約3000万円のファクタリング枠を獲得することができました。
必要書類の準備と提出のコツ
製造業特化型ファクタリングサービスに申し込む際に必要な書類は以下の通りです。
基本書類: 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) 決算書(直近2~3期分) 代表者の本人確認書類(運転免許証など) 印鑑証明書
取引関連書類: 売掛先との基本契約書 発注書/注文書 納品書/検収書 請求書 取引実績を示す資料(過去の入金実績など)
赤字企業が特に注意すべき書類準備のコツとしては以下が挙げられます。
決算書の補足説明:赤字の原因と改善策について簡潔な補足資料を用意します。一時的な要因による赤字であることを説明できると有利です。
受注状況の資料:現在の受注残や今後の見込みを示す資料があると、事業の継続性をアピールできます。
取引先の信用情報:大手企業との取引である場合、その企業の信用情報(上場企業であれば企業情報など)を添付すると良いでしょう。
ある電子部品メーカーでは、赤字決算ながらファクタリング審査に通過できた理由として、「取引先である大手電機メーカーとの取引実績を示す資料を詳細に提出したこと」を挙げています。過去3年間の月次取引データと入金実績を表にまとめ、取引の安定性と確実性をアピールしました。
赤字製造業がファクタリングを成功させた事例
実際に赤字決算中にファクタリングを活用し、資金繰りを改善した製造業の事例を見ていきましょう。
事例1:自動車部品メーカーの資金繰り正常化
自動車部品を製造するA社(年商4億円、従業員32名)は、新規設備投資と大口不良債権の発生により2期連続の赤字(年間約3000万円)に陥っていました。メインバンクからは追加融資が受けられず、材料仕入れや人件費の支払いに窮する状況でした。
特に課題だったのは、大手自動車メーカーへの納品から入金までの90日間の資金繰りです。月間約5000万円の売上がありましたが、常時1億円以上の売掛金が滞留する状態でした。
A社は製造業特化型ファクタリングサービスに申し込み、以下の戦略で審査通過を目指しました。
審査対策: 大手自動車メーカー2社への売掛金(約8000万円)に絞って申請 過去5年間の取引実績を詳細に提示 赤字の原因が一時的な要因であることを示す資料を用意 直近3か月の黒字化傾向を示す月次試算表を提出
結果として、A社は月間5000万円のファクタリング枠を獲得。これにより材料仕入れと人件費の支払いを正常化することができました。
ファクタリングの手数料は年率約18%でしたが、資金繰りの正常化により生産体制を維持でき、大型受注を失うリスクを回避できました。同社の財務担当者は「赤字期間中でも、大手取引先との安定した取引実績がファクタリング審査のカギとなった」と振り返っています。
事例2:精密機械部品メーカーの研究開発継続
精密機械部品を製造するB社(年商3億2000万円、従業員28名)は、主力製品の競争激化により一時的な赤字(約2500万円)に陥っていました。次世代製品の研究開発を継続するための資金(約3000万円)が必要でしたが、銀行融資は難しい状況でした。
B社は製造業特化型ファクタリングサービスに申し込み、研究開発資金の確保を目指しました。
審査対策: 医療機器メーカーという安定性の高い業界の取引先を前面に押し出す 長期的な取引契約書を提示 研究開発中の次世代製品の受注見込みを示す資料を用意 月次での業績回復傾向を示す資料を提出
結果として、B社は医療機器メーカーへの売掛金約4000万円のうち約3000万円をファクタリングで資金化することに成功。これにより研究開発を予定通り継続することができました。
ファクタリングの手数料は約480万円(手数料率16%)発生しましたが、研究開発の遅延による市場機会の損失(推定約1億円以上)を回避できたことを考えると、十分に価値のある投資だったとB社は評価しています。
B社の経営者は「赤字期間中こそ将来への投資が重要。ファクタリングなしでは研究開発の継続は難しかった」と述べています。
製造業特化型ファクタリングサービスの選定ポイント
赤字企業が製造業特化型ファクタリングサービスを選ぶ際のポイントを解説します。
製造業の実績と理解度を確認
製造業特化型を謳っていても、実際の業界理解度は会社によって異なります。以下のポイントを確認しましょう。
製造業の取引実績:過去にどれだけの製造業の案件を取り扱ったかを確認します。
業界知識:製造業特有の商習慣や用語を理解しているかを確認します。例えば、「検収条件」「歩留まり」「ロット生産」などの専門用語への理解があるかどうかが判断材料になります。
担当者の専門性:担当者が製造業出身者や製造業融資の経験者であれば、より適切な対応が期待できます。
ある金属加工メーカーでは、一般的なファクタリング会社と製造業特化型のファクタリング会社の両方に相談した結果、「製造プロセスや検収条件を理解している」という理由で後者を選択。結果的に、製造業特有の長い検収期間にも柔軟に対応してもらえ、スムーズな資金化が実現できたといいます。
赤字企業への対応実績と手数料体系
赤字企業への対応実績と手数料体系も重要な選定ポイントです。
赤字企業の取扱実績:赤字企業への対応実績が豊富かどうかを確認します。
手数料の透明性:基本手数料以外に、審査料や事務手数料などの追加費用がないかを確認します。
分割払いの可否:資金的に余裕がない赤字期には、手数料の分割払いに対応しているかも重要なポイントです。
ある樹脂成形部品メーカーでは、3社のファクタリング会社を比較検討した結果、「赤字企業への対応実績が豊富」「手数料の分割払いに対応」という2点を重視して選定。結果として、他社より手数料率は若干高かったものの(年率20%程度)、柔軟な対応とサポート体制に満足していると評価しています。
赤字からの脱却を目指すファクタリング活用術
最後に、ファクタリングを活用しながら赤字から脱却するための方法について解説します。
短期的な資金繰り改善と長期的な経営改善の両立
ファクタリングは短期的な資金繰り改善に効果的ですが、長期的な経営改善も並行して進めることが重要です。
ファクタリング資金の戦略的活用:調達した資金を単なる穴埋めではなく、利益率向上や業務効率化のための投資に充てることも検討します。
経営改善計画との連動:ファクタリングをいつまで、どの程度活用するかを含めた計画を立てます。
段階的な依存度低減:業績回復に伴い、ファクタリングへの依存度を段階的に下げていく出口戦略も重要です。
ある産業機械部品メーカー(年商3億5000万円)では、赤字期にファクタリングで調達した資金の一部を生産工程の自動化に投資。これにより製造コストが約15%削減され、6ヶ月後には月次ベースでの黒字化に成功しました。その後も戦略的にファクタリングを活用しながら、徐々に依存度を下げていったといいます。
金融機関との関係修復も視野に
赤字からの脱却後は、金融機関との関係修復も視野に入れた戦略が重要です。
月次業績の改善提示:ファクタリングによる資金繰り安定化後、月次での業績改善を金融機関に定期的に報告します。
長期的な経営改善計画の提示:銀行融資再開を視野に入れた長期的な経営改善計画を提示します。
段階的な銀行取引の再構築:まずは小口の運転資金からスタートし、徐々に取引を拡大していく戦略が効果的です。
ある精密機械部品メーカーでは、ファクタリングで資金繰りを安定させた後、四半期ごとにメインバンクへの業績報告会を実施。1年後には融資枠の再設定に成功し、ファクタリングと銀行融資を併用する資金調達体制を構築できたといいます。
まとめ
製造業が赤字決算時に直面する資金調達の課題は深刻ですが、製造業特化型ファクタリングサービスは有効な解決策となります。銀行融資が厳しくなる赤字期でも、取引先の信用力を重視する審査基準であれば利用できる可能性が高まります。
申込みの際は、大手企業など信用力の高い取引先への売掛金を選び、取引の継続性や安定性をアピールすることがポイントです。また、赤字の原因が一時的なものであることや、業績回復に向けた具体的な取り組みを示すことも重要です。
ファクタリングの手数料は銀行融資より高めですが、赤字期の資金繰り改善による事業継続、取引先との信頼関係維持、将来への投資継続といったメリットを考えれば、十分に検討価値のある選択肢と言えるでしょう。
製造業特有の長い支払いサイクルと赤字時の資金調達難という二重の課題に対して、製造業特化型ファクタリングサービスは効果的な解決策を提供します。赤字からの脱却を目指す製造業の経営者にとって、有力な資金調達の選択肢として検討されることをお勧めします。

