
設備投資をしたいけど、資金繰りが厳しくて踏み切れないんだよね。銀行融資も審査が厳しくて…

そういった悩みを抱える建設業の経営者は多いですよ。実は設備投資にファクタリングを活用する方法があるんです。今回は実際に成功した事例と共に、メリットや導入方法を詳しくご紹介します。

ファクタリングって売掛金を早期に現金化するものでしょ?設備投資にも使えるの?

はい、実はファクタリングを戦略的に活用することで、設備投資の資金調達が可能なんです。この記事では、具体的な活用法から成功のポイントまで、すぐに使える情報をお伝えします!
建設業界では技術革新や競争力強化のための設備投資が欠かせませんが、高額な建設機械の購入や最新IT設備の導入には多額の資金が必要です。一方で、工事完了から入金までの期間が長期化する建設業特有の資金繰りの課題が、積極的な設備投資を阻む要因となっています。本記事では、ファクタリングを戦略的に活用して必要な設備投資を実現し、業績向上につなげた中小建設会社の事例を紹介します。
設備投資に悩む建設会社のプロフィール
まずは設備投資の課題を抱えていた建設会社の状況から見ていきましょう。
創業15年「大和建設」の会社概要と課題
東北地方で土木・建築工事を手がける「大和建設」(仮称)は、創業15年の中小建設会社です。社長の田中氏(仮名)は元現場監督で技術に精通しており、丁寧な施工と納期厳守で顧客からの信頼を獲得してきました。従業員数は正社員18名、協力会社を含めると約40名体制、年商は約4億2,000万円の企業です。
主な事業は公共インフラの維持管理工事(年間売上の約40%)、商業施設の新築・改修工事(約35%)、一般住宅の建築・リフォーム工事(約25%)です。特に公共工事では高い評価を受け、安定した受注を得ていました。
しかし創業から15年が経過し、同社は重大な課題に直面していました。主力の建設機械の老朽化と新技術対応の遅れです。
「当社の主力バックホウ2台は導入から12年以上経過し、故障が増加。修理費用だけでも年間約300万円かかっていました。また最新の環境基準に対応していないため、特に公共工事で入札資格に影響する懸念が出てきました」と田中社長は当時の状況を説明します。
さらに、設計業務のIT化の遅れも深刻でした。CADシステムは10年前の旧式で、3D設計や最新の構造計算に対応できないため、大型案件や高度な技術を要する案件で競争力が低下していました。
必要な設備投資と資金調達の壁
大和建設では、競争力維持と事業拡大のために以下の設備投資が必要と判断していました。
新型バックホウ2台の導入:約2,500万円 小型油圧ショベル1台:約800万円 最新CADシステムと設計用PC:約500万円 現場管理用タブレット20台とソフトウェア:約300万円 事務所の一部改装(設計室拡張):約400万円
合計すると約4,500万円の設備投資が必要な計算で、この金額は年商の約10%に相当する大型投資でした。
田中社長は「必要性は十分認識していましたが、資金調達が大きな壁でした」と振り返ります。具体的には以下のような課題がありました。
銀行融資だけでは不十分でした。設備投資向けの銀行融資は審査に時間がかかり、また既存の借入残高(約8,000万円)もあったため、新規融資は2,000万円程度が限界と試算されました。
自己資金も十分ではありませんでした。手元資金は約1,000万円ありましたが、その大半は運転資金として必要なため、設備投資に回せるのは多くても300万円程度でした。
リース活用も検討しましたが、費用総額が高くなることと、資産として計上できない点がネックでした。特に建設機械は自社資産として保有したいという経営方針がありました。
「必要な投資ができないまま古い設備で現場を回していると、いずれ大きな受注機会を逃すことになる。でも一度に4,500万円の投資は難しい。このジレンマに悩んでいました」と田中社長は当時の心境を語ります。
ファクタリング導入の経緯と設備投資計画
設備投資の必要性と資金調達のジレンマに悩む大和建設。その状況を打開するきっかけとなったのが、ファクタリングとの出会いでした。
ファクタリングとの出会いと可能性の発見
田中社長がファクタリングを知ったのは、地元の商工会議所が主催する経営セミナーでした。「売掛金を早期に資金化できる」という説明に可能性を感じた田中社長は、詳細を調査しました。
特に建設業向けのファクタリングサービスに注目し、3社から詳細な説明を受けました。提示された条件は以下の通りです。
A社:手数料率7%、審査期間5日、公共工事に強み B社:手数料率8%、審査期間3日、スピード審査が売り C社:手数料率6.5%、審査期間7日、建設業専門
田中社長は様々な角度から比較検討しました。単に手数料率の低さだけでなく、公共工事の債権に対する理解度や、長期的な関係構築の可能性も重視。最終的にA社とC社の2社と契約することにしました。公共工事の債権はA社、民間工事の債権はC社というように使い分ける戦略です。
「ファクタリングを導入すれば、工事完了後すぐに売掛金を資金化できる。これなら設備投資に必要な資金を計画的に確保できるのではないか」。このアイデアをきっかけに、田中社長は設備投資とファクタリングを連動させた資金計画を立案することにしました。
ファクタリングを活用した段階的設備投資計画
大和建設では、一度に全ての設備投資を行うのではなく、ファクタリングを活用した段階的な設備投資計画を立てました。具体的には以下のような3段階の計画です。
第1段階(3ヶ月以内):新型バックホウ1台(1,200万円)と最新CADシステム(500万円)の導入 第2段階(6ヶ月以内):小型油圧ショベル(800万円)と現場管理用タブレット(300万円)の導入 第3段階(12ヶ月以内):新型バックホウ追加1台(1,300万円)と事務所改装(400万円)の実施
この計画を実行するために、ファクタリングを以下のように活用することにしました。
第1段階の資金調達:完工済み公共工事(約3,000万円)の売掛金のうち2,000万円をA社でファクタリング。手数料(約140万円)を差し引いた約1,860万円に自己資金200万円を加えて、第1段階の投資(合計1,700万円)を実施。
第2段階の資金調達:第1段階から3ヶ月後に完工予定の民間商業施設工事(2,500万円)の売掛金をC社でファクタリング。手数料(約160万円)を差し引いた約2,340万円のうち1,100万円を第2段階の投資に充当。残りは運転資金として確保。
第3段階の資金調達:第2段階から6ヶ月後に完工予定の公共工事(4,000万円)の売掛金の一部(2,000万円)をA社でファクタリング。手数料(約140万円)を差し引いた約1,860万円に、銀行融資(1,000万円)を組み合わせて第3段階の投資(合計1,700万円)を実施。
「ファクタリングを活用することで、工事の完工と設備投資のタイミングを連動させられる。無理なく段階的に投資を進められるのがメリットでした」と田中社長は計画の狙いを説明します。
設備投資の実行と事業への影響
計画に基づいて段階的に設備投資を実行した大和建設。その具体的な進行と事業への影響を見ていきましょう。
設備投資の具体的な進行と導入効果
大和建設では、計画通りに段階的な設備投資を進めました。第1段階の投資は計画から約2ヶ月後に実行されました。
新型バックホウ導入の効果は即座に現れました。燃費が従来機に比べて約30%向上し、月間の燃料費が約15万円削減。また作業効率も向上し、特に掘削作業のスピードが約20%アップしました。これにより工期短縮が可能となり、同じ人員でより多くの現場を回せるようになりました。
最新CADシステムの導入も大きな効果をもたらしました。3D設計が可能になったことで、顧客への提案力が向上。特に商業施設の内装工事において、クライアントに3Dイメージを提示できるようになり、受注率が約15%向上しました。
第2段階の投資は予定通り3ヶ月後に実行されました。小型油圧ショベルの導入により、狭小地での作業効率が大幅に向上。これまで手作業に頼っていた部分を機械化できたことで、人手不足の解消にもつながりました。
現場管理用タブレットの導入は、情報共有の効率化をもたらしました。現場の進捗状況や問題点をリアルタイムで共有できるようになり、本社と現場の連携が強化。特に現場写真の共有と報告書作成の時間が1日あたり約1時間短縮されました。
第3段階の投資は予定より1ヶ月早く、計画から11ヶ月後に実行。2台目の新型バックホウ導入により、複数現場の同時進行がスムーズになりました。事務所改装では設計室を拡張し、効率的な作業環境を実現しました。
設備投資による受注拡大と収益向上
段階的な設備投資は、大和建設の受注状況と収益に大きなプラスの影響をもたらしました。
まず受注範囲が拡大しました。新型建設機械の導入により、より大規模な工事や環境基準の厳しい公共工事への対応力が向上。特に従来は設備面の制約から見送っていた大型の土木工事(1件あたり5,000万円以上)の受注が可能になりました。
導入後1年間で、新たに3件の大型公共工事(合計約2億円)を受注。これは前年に比べて約8,000万円の増加となり、売上向上に大きく貢献しました。
また、作業効率の向上とコスト削減により、利益率も改善しました。燃料費や修理費の削減、工期短縮による人件費の最適化などにより、工事全体の利益率が平均で約2%向上。年間の売上約4億5,000万円に対して約900万円の利益増加となりました。
CADシステムと現場管理システムの導入による業務効率化も見逃せない効果でした。設計から現場管理までの一連の作業時間が約15%短縮され、同じ人員でより多くの案件を担当できるようになりました。特に見積作成から契約までの期間が平均10日から7日に短縮され、受注機会の拡大にもつながりました。
「設備投資により、『できない』『厳しい』と断っていた案件に挑戦できるようになりました。また作業効率の向上で、同じ人員でも売上と利益を増やせるようになり、人材不足の中でも成長できる体制が整いました」と田中社長は投資効果を評価しています。
ファクタリングを活用した設備投資のポイント
大和建設の事例から、ファクタリングを活用して設備投資を成功させるためのポイントを整理します。
設備投資計画とファクタリングの連動戦略
ファクタリングを設備投資に活用する際の重要なポイントとして、以下が挙げられます。
工事完了時期と設備投資のタイミングを合わせる「時間的連動」が重要です。大和建設では、主要工事の完工時期を予め把握し、その直後にファクタリングと設備投資を実行するというスケジュールを綿密に計画していました。これにより、資金繰りに無理なく設備投資を進められました。
また工事の種類と使用する設備の「用途的連動」も効果的です。例えば、土木工事の完工金をファクタリングして建設機械を購入するなど、その工事分野の売上を同じ分野の設備投資に充てるという原則を立てていました。これにより投資効果の測定が容易になり、経営判断の精度が向上しました。
さらに投資規模と資金調達のバランスも重要なポイントです。大和建設では、総額4,500万円の設備投資を無理に一度に行うのではなく、約1,500万円規模に分割して段階的に実施。各段階で成果を確認しながら次のステップに進むことで、投資リスクを分散させていました。
「ファクタリングを活用する最大のメリットは、工事代金の入金を待たずに次の投資ができること。これにより『稼ぐ→投資する→さらに稼ぐ』というサイクルを加速できます」と田中社長は説明します。
ファクタリングコストと投資リターンの分析
設備投資にファクタリングを活用する際には、そのコストとリターンのバランスを分析することが重要です。大和建設では以下のような考え方で分析していました。
ファクタリング手数料と銀行融資金利を比較検討しました。ファクタリングの手数料(約6.5〜7%)は銀行融資の金利(年2〜3%)より高いものの、審査の速さや担保不要という利点があります。大和建設では「早期に投資を実行することによる受注機会の獲得」という観点から、手数料の高さを上回るメリットがあると判断しました。
設備投資の回収期間の試算も重要なポイントです。大和建設の場合、新型バックホウ(1,200万円)は燃料費削減(年間180万円)、修理費削減(年間150万円)、受注増加による利益(年間約500万円)を合わせると、年間約830万円の効果。つまり約1.5年で投資回収できると試算していました。
また段階的投資による「成果の可視化」も効果的です。第1段階の投資効果を確認してから第2段階に進むというアプローチにより、投資判断の精度を高めていました。実際、第1段階の新型バックホウ導入後に燃費改善効果が予想以上だったため、第3段階で導入予定だった2台目の機種をより燃費効率の高いモデルに変更するなど、柔軟な対応が可能でした。
「ファクタリングの手数料は確かにコストですが、『投資の前倒しによる早期リターン』という視点で評価すれば、十分に見合う投資でした」と田中社長は振り返ります。
持続可能な設備投資とファクタリングの位置づけ
最後に、大和建設のその後の展開と、長期的な視点でのファクタリング活用について見ていきます。
投資サイクルの確立と収益力向上
大和建設では、ファクタリングを活用した設備投資の成功を踏まえ、持続可能な投資サイクルを確立しました。
「稼ぐ→投資する→さらに稼ぐ」という好循環が生まれました。設備投資による受注拡大と利益率向上で、年商が4億2,000万円から5億5,000万円へと約30%増加。特に利益率の向上により、投資余力が大幅に増しました。
この余力を活かして、翌年には以下のような追加投資も実施しています。
ミニクレーン(600万円):狭小地での作業効率向上 3Dスキャナー(400万円):高精度な現況調査と設計への活用 社用車の一部更新(500万円):燃費向上と企業イメージ向上
これらの投資資金は、一部ファクタリングを活用しつつも、増加した自己資金からも捻出できるようになりました。具体的には投資総額1,500万円のうち、ファクタリングで700万円、自己資金で800万円を調達。ファクタリングへの依存度が低下し、より健全な投資サイクルが確立されつつあります。
「設備投資の成果が目に見えて表れることで、社内でも前向きな投資マインドが醸成されました。『良い設備は良い仕事を生む』という考え方が浸透し、スタッフからも積極的な設備提案が出るようになりました」と田中社長は社内の変化を語ります。
今後の展望とファクタリングの戦略的位置づけ
大和建設では、今後の設備投資とファクタリング活用について以下のような方針を立てています。
ファクタリングは「成長加速装置」として位置づけることが基本方針です。全ての設備投資にファクタリングを活用するのではなく、「早期実行が特に重要な投資」や「競争力強化に直結する投資」に絞って活用することで、手数料コストの最適化を図る計画です。
具体的には、年間の設備投資額(約2,000万円を予定)のうち、30〜40%程度をファクタリングで調達し、残りは自己資金と銀行融資の組み合わせでカバーする方針としています。
また財務体質の強化も並行して進めています。利益の内部留保を増やし、将来的にはファクタリングへの依存度を下げていく計画です。現在の売上高に占めるファクタリング利用率は約15%ですが、3年後には10%以下に抑えることを目標としています。
「ファクタリングは高度成長期の『加速装置』として大きな役割を果たしました。今後は選択的に活用しながら、自己資金での投資比率を高めていく方針です。ただ、急な大型投資や戦略的に急ぐべき投資については、引き続きファクタリングを積極的に活用していきます」と田中社長は今後の方針を語ります。
建設業界では設備投資の適否が競争力を大きく左右する時代になっています。しかし資金繰りの制約から必要な投資を先送りにしている企業も少なくありません。大和建設の事例が示すように、ファクタリングを戦略的に活用することで、「投資したいけれど資金が足りない」というジレンマを解消し、成長サイクルを加速させることが可能です。ぜひ自社の設備投資計画を見直し、ファクタリングの戦略的活用を検討してみてはいかがでしょうか。

