建設業における一括ファクタリングと分割ファクタリングの使い分け

建設業界向け
社長
社長

ファクタリングを利用しようと思っているんだが、一括と分割の2種類があるって聞いたよ。建設業の場合、どちらが適しているんだろう?大きな工事案件を抱えているから、選び方で悩んでいるんだ。

アドバイザー
アドバイザー

建設業では案件の規模や工期によって、最適なファクタリング方法が変わってきますね。一括と分割、それぞれに特徴があります。

社長
社長

そうなんだ。一括だと手続きが1回で済むけど、金額が大きいと審査が厳しそう。分割だと小分けにできるけど、手続きが複数回必要になるし…どう選べばいいんだろう?

アドバイザー
アドバイザー

おっしゃる通りです。この記事では、建設業における一括ファクタリングと分割ファクタリングのメリット・デメリット、向いている案件タイプ、コスト比較まで詳しく解説しています。あなたの工事案件に最適な選択ができる情報が満載ですよ!

建設業界とファクタリングの関係性

建設業界は他の産業と比較して特有の資金繰り課題を抱えています。工事の受注から完了、支払いまでのサイクルが長期にわたること、資材費や外注費などの先行投資が大きいこと、そして天候や資材調達の遅延などの不確実性が高いことなどが主な要因です。このような状況の中で、ファクタリングは建設業の資金繰り改善に重要な役割を果たしています。

建設業特有の資金繰り課題

建設業では着工から完工、そして入金までの期間が非常に長いという特徴があります。多くの場合、工事着手時に一部前払いがあるものの、残金は中間金や完成時の支払いとなり、最終的な入金までに数ヶ月から半年以上かかることも珍しくありません。

例えば、年商1億円程度の中小建設会社が5000万円の工事を受注した場合、着工時に30%の1500万円を受け取れたとしても、残りの3500万円は工事進行中や完了後の支払いとなります。その間、資材費や人件費、下請け業者への支払いは継続して発生するため、資金繰りの負担が大きくなります。

ファクタリングが建設業で重要視される理由

このような資金繰りの課題を解決する手段として、ファクタリングは建設業で広く活用されています。ファクタリングは、発注者に対する請求書(売掛金)を金融機関やファクタリング会社に譲渡し、即座に資金化するサービスです。

建設業においては、工事の進捗に応じて発生する請求権を早期に現金化できることで、以下のようなメリットがあります。

まず、資材の先行購入や人件費の確保が可能になり、工事のスムーズな進行を実現します。また、資金不足による工期遅延リスクを軽減し、発注者との信頼関係を維持することにつながります。さらに、安定した資金繰りによって新規案件への入札参加や事業拡大の機会を逃さないという効果もあります。

一括ファクタリングとは

一括ファクタリングとは、複数の請求書や売掛金を一度にまとめてファクタリングする方法です。建設業では、同一発注者からの複数現場の請求書や、異なる発注者からの請求書を一括で資金化する際に利用されます。

一括ファクタリングの特徴

一括ファクタリングの主な特徴は、大量の請求書を一度の手続きで処理できることです。例えば、年商3億円の建設会社が4つの現場で合計8000万円の請求書を保有している場合、これらをまとめて一つの契約でファクタリングすることが可能です。

手続きは基本的に1回で完結し、審査や契約書類も一式で済むため、事務作業の効率化につながります。また、取引規模が大きくなることで、ファクタリング会社との交渉力が上がり、有利な条件を引き出せる可能性も高まります。

一括ファクタリングのメリット

一括ファクタリングの最大のメリットは、手数料の削減です。複数の請求書をまとめることで、スケールメリットが生まれ、個別にファクタリングするよりも手数料率が下がることが一般的です。

例えば、個別に処理した場合の手数料率が5〜8%であるのに対し、一括処理することで3〜6%程度に抑えられるケースも少なくありません。年商2億円の建設会社が1億円分の請求書を一括ファクタリングする場合、手数料率が2%下がるだけで200万円のコスト削減となります。

また、資金調達の見通しが立てやすくなるという点も見逃せません。計画的な資金繰りが可能になり、経営の安定化につながります。

一括ファクタリングのデメリット

一方で、一括ファクタリングにはいくつかのデメリットも存在します。

まず、すべての請求書を一度に譲渡するため、万が一の支払遅延や未払いがあった場合のリスクが大きくなります。特に複数の発注者の請求書を束ねる場合、一部の発注者の支払いトラブルが全体に影響することがあります。

また、大口の資金化となるため、ファクタリング会社の審査が厳しくなる傾向があります。年商の小さい建設会社や創業間もない会社では、高額な一括ファクタリングの承認を得るのが難しい場合もあります。

一括ファクタリングに適した状況

一括ファクタリングが特に効果を発揮するのは、以下のような状況です。

季節的な工事集中期における資金需要の急増時には、複数現場からの請求書を一括処理することで、効率的に大量の資金を確保できます。例えば、年商1億5000万円の建設会社が夏季に学校施設の改修工事を複数受注している場合、9月の入金までの期間をしのぐために7000万円分の請求書をまとめてファクタリングするといった使い方が考えられます。

また、大型設備投資や事業拡大など、まとまった資金が必要な局面でも有効です。年商3億円の中堅建設会社が新たな重機を2000万円で導入する際、複数の完成工事の請求書を一括ファクタリングして資金を調達するといった活用方法があります。

分割ファクタリングとは

分割ファクタリングとは、一つの大型請求書を複数回に分けてファクタリングする方法、または複数の請求書を必要に応じて段階的にファクタリングしていく方法を指します。

分割ファクタリングの特徴

分割ファクタリングの主な特徴は、必要な時に必要な分だけ資金化できる柔軟性にあります。例えば、年商1億円の建設会社が6000万円の大型工事を受注した場合、中間金の請求書3000万円のうち、当面必要な1500万円だけを先にファクタリングし、残りは後日必要に応じてファクタリングするといった使い方が可能です。

また、一つの工事でも進捗に応じて発生する複数の請求権(前払金、中間金、完成時支払い)を、その都度ファクタリングすることもできます。この方法により、資金調達と実際の資金需要のタイミングを合わせやすくなります。

分割ファクタリングのメリット

分割ファクタリングの最大のメリットは、資金調達の柔軟性です。必要な時に必要な分だけの資金を調達できるため、余剰資金による金利負担を避けられます。年商8000万円の小規模建設会社が工事の資材調達のために当面1000万円だけ必要な場合、全額ではなくその分だけをファクタリングすれば、手数料の支払いを最小限に抑えられます。

また、リスク分散の効果もあります。一度に全ての売掛金を現金化するのではなく、分散することで、万が一のトラブル時の影響を軽減できます。

さらに、ファクタリング会社にとっても一度のリスク負担が小さくなるため、審査が通りやすくなる傾向があります。特に取引実績の少ない新規取引では、分割ファクタリングから始めることで徐々に信頼関係を構築していけます。

分割ファクタリングのデメリット

一方で、分割ファクタリングにはいくつかのデメリットも存在します。

最も大きな課題は、手数料率が高くなる傾向があることです。小口の取引になるため、一括と比較して1〜3%程度手数料率が高くなることが一般的です。年商1億2000万円の建設会社が3000万円の請求書を3回に分けて1000万円ずつファクタリングする場合、手数料率が2%高くなれば、合計で60万円のコスト増となります。

また、契約手続きを複数回行う必要があるため、事務コストや時間的コストがかさむ点も見逃せません。

分割ファクタリングに適した状況

分割ファクタリングが特に効果を発揮するのは、以下のような状況です。

長期間にわたる大型工事プロジェクトでは、工程ごとに資金需要が変動するため、その都度必要な分だけファクタリングする方法が適しています。例えば、年商2億円の建設会社が1年かけて1億円の大型商業施設建設を請け負う場合、四半期ごとの進捗に応じて2500万円ずつのファクタリングを行うといった方法が考えられます。

また、複数の小規模工事を同時進行する場合も、個別の工事の進捗や資金需要に応じて柔軟にファクタリングできる分割方式が有効です。年商5000万円の小規模建設会社が500万円〜1000万円規模の工事を5件同時進行する場合などが該当します。

建設業における一括ファクタリングの活用事例

大規模工事受注時の資金調達事例

東北地方で年商1億8000万円の中小建設会社Aは、地元自治体から過去最大となる6000万円の公共施設改修工事を受注しました。前払金として1800万円(30%)を受け取ったものの、資材費や下請け業者への支払いなど、着工直後に3000万円程度の資金が必要となることが判明しました。

A社はこれまでの完成工事未収入金(3件で合計4200万円)を一括ファクタリングすることを決断。ファクタリング会社との交渉の結果、手数料率4.5%(189万円)で3990万円の資金を調達することに成功しました。

この資金により、資材の一括購入による値引き(約120万円の節約)を実現し、下請け業者への前払いによる協力体制の強化も図れました。結果として工期を2週間短縮でき、発注者からの信頼を獲得。翌年には同自治体から新たに2件の工事を受注するという好循環につながりました。

季節的な工事集中期の乗り切り方

北海道で年商3億円の建設会社Bは、気候の関係で5月から9月に工事が集中するという季節性の課題を抱えていました。特に7月は複数の工事が同時進行し、資材費や人件費の支払いが集中する一方、入金は10月以降になるものが多く、毎年この時期の資金繰りに苦労していました。

B社は7月初旬に抱えていた完成工事未収入金(4件で合計1億2000万円)を一括ファクタリングすることで、手数料率3.8%(456万円)で1億1544万円の資金を確保。この資金を活用して7〜9月の資金需要を乗り切りました。

一括でまとめることで手数料を抑えられただけでなく、資金計画の見通しが立ったことで、新たな受注にも積極的に対応できるようになりました。その結果、当該年度の売上は前年比15%増の3億4500万円に拡大しました。

建設業における分割ファクタリングの活用事例

長期工事プロジェクトでの段階的資金調達

関西地方で年商9000万円の建設会社Cは、地元の商業施設の大規模リノベーション工事(総額4500万円、工期10ヶ月)を受注しました。契約では3回の分割支払い(着工時30%、中間時40%、完成時30%)となっていましたが、実際の資金需要は均等ではなく、特に工事中盤の設備導入時に資金需要のピークがありました。

C社は分割ファクタリングを活用し、以下のような段階的な資金調達を行いました。

まず1回目の入金(1350万円)後、次の工程に入る前に、別の完成工事の未収入金800万円をファクタリング(手数料率5.5%、44万円)。

次に工事中盤の2回目の請求時(1800万円)に、その一部1200万円のみをファクタリング(手数料率5.2%、62.4万円)し、設備導入資金に充当。

最後の完成時請求(1350万円)は、手元資金が回復していたため、ファクタリングせずに入金を待ちました。

このように資金需要に合わせた分割ファクタリングにより、余分な手数料負担を避けながら、工事をスムーズに進行させることができました。

複数現場同時進行時の柔軟な資金確保

九州地方で年商1億5000万円の建設会社Dは、同時期に5件の中小規模工事(各500万円〜1500万円)を進行していました。工事ごとに進捗状況や資金需要が異なるため、一括ファクタリングでは柔軟性に欠けると判断し、分割ファクタリングを選択しました。

最初に着手した2件の工事(合計2000万円)の中間請求時に、1200万円をファクタリング(手数料率6%、72万円)。これにより後発の工事の資材調達資金を確保しました。

2週間後、新たに発生した資金需要に対応するため、別の1件(1500万円)の前払金請求分900万円をファクタリング(手数料率5.8%、52.2万円)。

さらに1ヶ月後、最初の2件が完成し入金待ちとなった時点で、完成時請求分(合計1600万円)をファクタリング(手数料率5.5%、88万円)し、残りの工事の人件費などに充当しました。

このように現場ごとの状況に応じて柔軟にファクタリングを活用することで、資金不足による工事の中断や遅延を防ぎ、すべての工事を予定通り完了させることができました。手数料の合計は212.2万円となりましたが、これにより工期遅延によるペナルティ(推定300万円以上)を回避できたため、総合的には大きなメリットがありました。

一括ファクタリングと分割ファクタリングの効果的な使い分け

工事の規模に応じた選択

工事の規模によってファクタリングの選択も変わってきます。

大規模工事(5000万円以上)では、資金需要が大きく、また長期間にわたることが多いため、状況に応じた使い分けが効果的です。工事の初期段階で大量の資材調達が必要な場合は、既存の売掛金の一括ファクタリングで資金を確保し、その後の工程では、発生した請求権を分割でファクタリングしていくハイブリッド型のアプローチが適しています。

中規模工事(1000万円〜5000万円)では、工期や支払条件によって異なりますが、中間金の支払いタイミングが明確な場合は、その支払いスケジュールに合わせた分割ファクタリングが効率的です。特に複数の中規模工事を同時進行する場合は、工事ごとの進捗に応じた柔軟な資金調達が可能な分割ファクタリングの方が適していることが多いです。

小規模工事(1000万円未満)では、工期が短く資金回転も早いため、個別にファクタリングするよりも、複数の小規模工事の請求書をまとめて一括ファクタリングする方が手数料の面で有利になることが多いです。

工期に応じた選択

工期の長さもファクタリング選択の重要な判断材料となります。

短期工事(3ヶ月未満)では、資金需要が集中的に発生し、また資金回収も比較的早いため、一括ファクタリングが適していることが多いです。年商1億円の建設会社が2000万円の短期改修工事を請け負う場合、工事に必要な資金を一括で調達し、工事完了後の入金で返済するという流れが効率的です。

中期工事(3ヶ月〜6ヶ月)では、進捗に応じた支払いマイルストーンがある場合が多く、その支払いスケジュールに合わせた分割ファクタリングが効果的です。年商2億円の建設会社が6ヶ月の工期で4000万円の工事を進める場合、2ヶ月ごとの進捗支払いをそれぞれファクタリングするといった方法が考えられます。

長期工事(6ヶ月以上)では、資金需要と工程の変化が大きいため、基本的には分割ファクタリングが適していますが、特に資金需要が集中する時期が予測できる場合は、一括と分割を組み合わせたハイブリッドアプローチも有効です。

季節要因に応じた選択

建設業は季節による影響を大きく受ける業種です。この季節性を考慮したファクタリング選択も重要です。

繁忙期(主に春〜秋)は、複数の工事が同時進行し資金需要も大きくなるため、一括ファクタリングで大量の資金を確保することが有効です。特に夏季の学校改修工事など、期間限定の集中工事がある場合は、事前に一括ファクタリングで資金を確保しておくことで、スムーズな工事進行が可能になります。

閑散期(主に冬)は、新規工事が少なく資金需要も比較的少ないため、必要最小限の分割ファクタリングで対応するのが効率的です。また、この時期に来期の準備として設備投資などを行う場合は、年度末の請求書を一括ファクタリングして資金を確保するという方法も考えられます。

事業成長フェーズに応じた選択

建設会社の成長段階によっても、適したファクタリング方法は異なります。

創業期〜成長初期(年商1億円未満)の建設会社では、取引実績が少なく信用度も確立していないため、少額から始める分割ファクタリングの方が承認を得やすく、リスクも抑えられます。徐々に実績を積み、信頼関係を構築していくことで、将来的に有利な条件での一括ファクタリングにつなげていくことができます。

成長期(年商1億円〜3億円)の建設会社では、案件獲得力が高まり複数の工事を同時に進行することが増えてくるため、状況に応じた柔軟な使い分けが効果的です。大型案件の獲得時には一括ファクタリング、日常的な資金需要には分割ファクタリングというように、目的に応じた使い分けが可能になります。

安定期(年商3億円以上)の建設会社では、取引実績と信用度が確立しているため、有利な条件での一括ファクタリングが可能になります。また、資金計画もより精緻になるため、計画的なファクタリング活用で手数料負担を最小化しつつ、必要な資金を確保することができます。

ファクタリング選択時の注意点

費用対効果の検討方法

ファクタリングを選択する際には、手数料コストと得られるメリットのバランスを検討することが重要です。

手数料だけでなく、機会損失や代替コストも含めた総合的な判断が必要です。例えば、年商2億円の建設会社が3000万円の工事を受注するにあたり、2000万円のファクタリングを検討している場合、手数料5%で100万円のコストがかかります。一見高額に思えますが、これにより新規工事の受注が可能になり、500万円の粗利が見込めるなら、最終的にはプラスの効果があります。

また、ファクタリングを利用しない場合の代替手段(銀行借入や支払いの延期交渉など)とのコスト比較も重要です。銀行借入では金利は低いものの、審査に時間がかかり機動性に欠けることがあります。支払いの延期は直接的なコストは低いですが、取引先との関係悪化や今後の取引条件に影響する可能性があります。

契約時の確認ポイント

ファクタリング契約を結ぶ際には、以下のポイントを特に注意して確認することをおすすめします。

手数料の計算方法と総額が明確に示されているか確認しましょう。特に分割ファクタリングでは、回数ごとの手数料率が異なる場合があるため、各回の具体的な金額を確認することが重要です。

支払遅延時の対応やペナルティについても確認が必要です。発注者からの支払いが遅れた場合の追加手数料や延滞金の計算方法、支払い義務の所在(2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは異なります)を事前に把握しておきましょう。

契約の解除条件や中途解約の可能性についても確認しておくことで、将来の不測の事態に備えることができます。

税務上の留意点

ファクタリングを利用する際には、税務上の取り扱いにも注意が必要です。

売掛金の譲渡は、会計上どのように処理するのか(売上の前倒し計上ではなく、あくまで資金調達として処理)を明確にしておくことが重要です。特に工事進行基準を採用している建設会社では、収益認識のタイミングとファクタリングのタイミングが異なる場合があるため、会計処理には注意が必要です。

また、ファクタリング手数料は通常、支払手数料として経費計上できますが、その計上時期(支払時か契約時か)についても確認しておくことをおすすめします。

複雑なケースでは、税理士や会計士に相談することで、適切な処理方法を確認することが望ましいでしょう。

まとめ

建設業において、一括ファクタリングと分割ファクタリングはどちらも有効な資金調達手段です。それぞれの特性を理解し、工事の規模や工期、季節要因、そして会社の成長フェーズに応じて適切に使い分けることが重要です。

一括ファクタリングは大量の資金を効率的に調達したい場合に有効で、手数料の面でも有利になることが多いです。一方、分割ファクタリングは必要な時に必要な分だけ資金化できる柔軟性が魅力で、リスク分散にもつながります。

建設業の複雑な資金サイクルを乗り切るためには、これら二つの方法を状況に応じて適切に組み合わせることが、持続可能な成長への鍵となるでしょう。コストとメリットのバランスを常に意識しながら、自社にとって最適なファクタリング活用法を見つけてください。

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