
「大型工事を受注して嬉しいんだけど、工期が長いから資金繰りが心配なんだよね。出来高払いにはしてもらったけど、それでも材料費や人件費の支払いとのタイミングが合わなくて…」

「出来高払いは全額後払いよりは良いですが、それでも資金繰りの課題は残りますよね。特に建設業界は経費の先行投資が大きいですし。」

「そうなんだ。出来高払いの部分だけでも、もっと早く資金化できる方法があれば助かるんだけどね。」

「実は、出来高払いの部分に対してファクタリングを活用する方法があるんです。建設業界特有の出来高払いとファクタリングを連携させることで、資金繰りを大幅に改善できる可能性がありますよ。」

「へぇ、出来高払いでもファクタリングが使えるの?どうやって連携させるの?具体的にどんなメリットがあるの?」

「この記事では、建設業界の出来高払いの仕組みとファクタリングの連携方法、そのメリットや注意点について詳しく解説しています。工期の長い大型工事でも資金繰りを安定させる具体的な方法が見つかりますよ。」
建設業界では工期が長期にわたる工事が多く、完工まで資金回収ができないと資金繰りが厳しくなりがちです。そのため「出来高払い」という方式が活用されていますが、その請求から入金までにもタイムラグが生じます。こうした状況を改善する手段として、出来高払いとファクタリングを連携させる方法が注目されています。本記事では建設業における出来高払いの仕組みと、これをファクタリングで効率的に資金化する方法について解説します。
建設業界における出来高払いの基本と課題
出来高払いの仕組みと種類
建設業界における出来高払いとは、工事の進捗度合いに応じて段階的に工事代金を受け取る支払い方式です。一般的に以下のような形で実施されます。
工事の進捗率(出来高)に応じた支払い:例えば工事全体の30%、60%、90%完了時点などの節目で中間金を受け取る 定期的な出来高査定に基づく支払い:毎月末などの定期的なタイミングで、その時点までの出来高に応じた金額を請求する
例えば東北地方の年商2億円の建設会社では、大型商業施設の建設工事(契約金額1億5,000万円)において、30%、60%、90%の出来高時点での中間払いと、完成後の残金支払いという契約を結びました。これにより工事の進行に合わせて段階的に資金を回収できる仕組みを構築しています。
出来高払いの種類としては、大きく分けて以下のようなものがあります。
公共工事における部分払い:一定の出来高に達した時点で、出来高に相当する金額から前払金の一部を差し引いた額が支払われる 民間工事における中間金:契約時に定められた出来高の節目で、その時点までの工事代金の一部を受け取る 定期的な出来高払い:毎月などの一定期間ごとに、その期間の出来高に応じた金額を請求・回収する
出来高払いのメリットは、完成までの長期工事でも段階的に資金回収ができるため、資金繰りの安定化につながる点にあります。特に半年から1年以上に及ぶ大型工事では、資材費や人件費などの支出が継続的に発生するため、出来高払いによる段階的な資金回収は経営の安定に大きく貢献します。
出来高払いにおける実務的な課題
出来高払いは資金繰り改善に有効ですが、実務上はいくつかの課題も存在します。
まず「出来高査定から入金までの期間」が課題となります。出来高の査定を受けてから実際に入金されるまでには、通常1〜2ヶ月程度の期間を要することが一般的です。例えば関東地方の年商3億円の建設会社では、公共工事の出来高50%時点での部分払い申請から実際の入金までに45日を要した経験があります。この期間の資金繰りをどう乗り切るかが課題となります。
次に「出来高査定の頻度と手間」も問題です。出来高査定には詳細な資料作成や現場での立会検査など、相応の準備と対応が必要となります。特に公共工事では厳格な査定手続きが求められ、資料作成にも時間と労力がかかります。査定頻度が高いほど資金回収の機会は増えますが、その分の手間とコストも増加します。
また「出来高部分の請求可能範囲」にも制約があります。例えば公共工事の部分払いでは、出来高の9/10に相当する金額から前払金の一部を控除した額が支払い対象となるなど、出来高全額を請求できるわけではないケースが多いです。中部地方の年商2億円の建設会社では、出来高60%(6,000万円相当)の時点で部分払い申請を行ったところ、実際の支払い額は約4,500万円にとどまったという例もあります。
さらに「発注者ごとの異なる出来高払い条件」も実務を複雑にします。公共工事と民間工事では条件が異なりますし、民間工事でも発注者ごとに独自の条件を設定しているケースが少なくありません。九州地方の建設会社では、同時期に進行していた3つの工事で、それぞれ異なる出来高払い条件(30%・60%・90%/四半期ごと/毎月末)に対応する必要があり、資金計画の立案に苦労したといいます。
これらの課題を解決し、より効率的な資金調達を実現するために、出来高払いとファクタリングを連携させる方法が注目されています。
出来高払いの債権をファクタリングで資金化する方法
出来高債権ファクタリングの基本的な仕組み
出来高債権ファクタリングとは、工事の出来高査定に基づいて発生した請求債権を、ファクタリング会社に売却して早期に資金化する方法です。通常の出来高払いでは査定後1〜2ヶ月程度で入金されるところを、ファクタリングを活用することで最短1〜3営業日で資金化することが可能になります。
具体的な流れは以下のようになります。
① 出来高査定:発注者または監理者による出来高査定を受け、査定書を取得する ② 請求書発行:出来高査定に基づく請求書を発行する ③ ファクタリング申込:出来高請求債権をファクタリング会社に売却申込する ④ 審査・契約:ファクタリング会社による審査後、契約を締結する ⑤ 資金化:債権額から手数料を差し引いた金額を受け取る ⑥ 支払期日:支払期日に発注者からファクタリング会社へ支払いが行われる
例えば関西地方の年商2億円の建設会社では、大型商業施設の建設工事(1億円)の出来高60%時点で、6,000万円の出来高債権をファクタリングで資金化しました。出来高査定から3営業日で約5,700万円(手数料率5%、300万円)を受け取ることができ、通常なら40日後の入金を大幅に前倒しすることができました。
出来高債権ファクタリングで特に重要なのが、出来高査定の正確性と公式性です。ファクタリング会社は出来高査定の信頼性を重視するため、発注者または監理者による公式な査定書が必要となります。不明確な査定や自社のみの判断による出来高報告では、ファクタリングの審査に通らない、または高い手数料率が適用されるリスクがあります。
出来高査定書の取得と効果的な活用法
出来高債権をファクタリングで資金化するためには、信頼性の高い出来高査定書を取得することが重要です。効果的な査定書取得と活用法について解説します。
まず「公式な出来高査定書の取得」が基本です。発注者(公共工事なら監督官、民間工事なら発注者または監理者)による正式な出来高査定を受け、署名または押印がある査定書を取得しましょう。単なる進捗報告書ではなく、支払いの根拠となる公式な書類である点が重要です。
東北地方の年商1億5,000万円の建設会社では、出来高債権のファクタリングを検討した際、当初は現場監督による進捗報告書しか用意できませんでした。ファクタリング会社からは「正式な査定書がない」として高い手数料率(12%)が提示されましたが、発注者の設計事務所に出向いて正式な出来高査定書を発行してもらうことで、手数料率を7%まで引き下げることに成功しました。
次に「詳細な工程表との整合性確保」も重要です。出来高査定の根拠となる詳細な工程表を事前に作成し、発注者と合意しておくことで、査定時のトラブルや認識のズレを防ぐことができます。この工程表と実際の進捗状況を照合した査定書があれば、ファクタリングの審査もスムーズになります。
関東地方の年商3億円の建設会社では、工事開始前に全体を100の工程に細分化した詳細工程表を作成し、発注者の承認を得ていました。出来高査定時にはこの工程表と照合して進捗率を算定し、両者の署名入りの査定書を作成。これをファクタリング申請時に提出することで、スムーズな審査と好条件(手数料率5.5%)での資金化を実現しました。
また「写真や図面による進捗証明」も有効です。主要工程の完了を示す日付入りの写真や、図面上での進捗箇所のマーキングなど、視覚的な証拠を査定書に添付することで、出来高の信頼性が高まります。ファクタリング会社にとっても、実際の工事進捗を確認できる材料となります。
中部地方の建設会社では、大型マンションの建設工事(1億2,000万円)の出来高債権をファクタリングする際、各フロアの工事進捗状況を示す写真と図面を査定書に添付。これにより出来高の信頼性が高まり、手数料率を当初提示の8%から6.5%に引き下げることに成功しました。
出来高債権ファクタリング活用の成功事例
大型工事の資金繰り改善事例
出来高債権ファクタリングを活用して大型工事の資金繰りを改善した具体的な事例を紹介します。
北海道の年商2億5,000万円の建設会社Aは、大型商業施設の建設工事(契約金額1億8,000万円、工期12ヶ月)を受注しました。この工事では30%、60%、90%の出来高時点での中間払いと、完成後の残金支払いという契約条件でした。しかし出来高査定から実際の入金までには約45日を要するため、その間の資金繰りが課題となっていました。
そこでA社は以下のようなファクタリング活用計画を立てました。
① 30%出来高時(3ヶ月時点):査定額5,400万円の債権をファクタリングで資金化 手数料率6%(324万円)で約5,076万円を調達、次の工程の資材調達に充当
② 60%出来高時(7ヶ月時点):査定額5,400万円の債権をファクタリングで資金化 手数料率5.5%(297万円)で約5,103万円を調達、人件費と外注費に充当
③ 90%出来高時(10ヶ月時点):査定額5,400万円の債権をファクタリングで資金化 手数料率5%(270万円)で約5,130万円を調達、最終工程と次工事の準備資金に充当
④ 完成時(12ヶ月時点):残金1,800万円は通常の請求サイクルで回収
この戦略により、A社は大型工事の各段階で必要な資金を適時に確保することができました。特に60%出来高時点では、次の工程に必要な特殊資材の一括購入(約3,000万円)が必要でしたが、ファクタリングで調達した資金により、早期発注によるボリュームディスカウント(約300万円の削減)も実現。結果的にファクタリング手数料とほぼ同額のコスト削減効果を得ることができました。
また複数工事の同時進行も可能になり、年間の売上高が前年比約25%増加するという成長も実現しました。出来高債権ファクタリングを計画的に活用することで、単なる資金繰り改善だけでなく、事業拡大の基盤を構築できた好例といえます。
季節変動と複数工事の並行進行を実現した事例
出来高債権ファクタリングを活用して、季節変動の課題を克服し、複数工事の並行進行を実現した事例も見てみましょう。
九州地方の年商2億円の建設会社Bは、5月から10月の繁忙期に公共工事と民間工事合わせて4件(総額2億5,000万円)の工事が重なる状況でした。各工事とも出来高払いの条件はありましたが、入金まで30日から60日のタイムラグがあり、特に7月から8月にかけて約8,000万円の資金需要が集中する見込みでした。
B社はこの状況に対応するため、以下のような段階的なファクタリング計画を実行しました。
① 5月末時点:公共工事A(契約金額8,000万円)の出来高30%(2,400万円)をファクタリングで資金化 手数料率4.5%(108万円)で約2,292万円を調達
② 6月末時点:民間工事B(契約金額6,000万円)の出来高40%(2,400万円)をファクタリングで資金化 手数料率7%(168万円)で約2,232万円を調達
③ 7月末時点:公共工事C(契約金額7,000万円)の出来高30%(2,100万円)をファクタリングで資金化 手数料率4.5%(94.5万円)で約2,005万円を調達
④ 8月末時点:民間工事D(契約金額4,000万円)の出来高50%(2,000万円)をファクタリングで資金化 手数料率7%(140万円)で約1,860万円を調達
このように各工事の出来高進捗に合わせて段階的にファクタリングを活用することで、繁忙期の資金需要に対応し、全ての工事をスケジュール通りに進行させることができました。特に材料の一括発注や協力会社への適時支払いが可能になったことで、工期遅延のリスクを回避できた点が大きなメリットでした。
また10月以降の閑散期に備えて、9月末時点での各工事の出来高債権の一部をファクタリングで資金化。これにより冬季の運転資金も確保し、年間を通じた安定経営を実現することができました。
B社は「出来高債権ファクタリングは単なる資金調達手段ではなく、工事の進捗と資金需要を連動させる経営ツールとして有効」と評価しており、以後も継続的に活用しています。
出来高債権ファクタリングを成功させるポイント
効果的な出来高査定とファクタリング会社選び
出来高債権ファクタリングを成功させるためには、効果的な出来高査定の実施とファクタリング会社選びが重要です。
まず「出来高査定の計画的実施」が基本です。工事開始前に出来高査定のタイミングと方法を発注者と合意しておくことで、計画的な資金化が可能になります。また査定直後にファクタリングできるよう、事前にファクタリング会社との調整も行っておくことが重要です。
関西地方の年商3億円の建設会社では、大型工事(1億5,000万円)の契約時に、毎月末の出来高査定と翌日の査定書発行というスケジュールを発注者と合意。さらにファクタリング会社とも事前に調整して、査定書取得後2営業日以内に資金化できる体制を整えました。これにより月初の協力会社への支払いに間に合わせることができ、スムーズな工事進行が実現しました。
次に「詳細かつ明確な査定基準の策定」も重要です。工事項目ごとの単価と数量を明確にした内訳書を作成し、これに基づいて出来高を算定する方法が効果的です。曖昧な査定ではファクタリング審査に通らない、または高い手数料率を適用される可能性があります。
東北地方の建設会社では、工事を約100項目に細分化した詳細内訳書を作成し、各項目の完了度合いを%表示する査定方式を導入。これにより出来高算定の根拠が明確になり、ファクタリング会社からの信頼も高まりました。結果として手数料率を平均2%引き下げることに成功したといいます。
また「建設業に精通したファクタリング会社の選定」も成功の鍵です。建設業の出来高査定の仕組みや書類体系を理解しているファクタリング会社を選ぶことで、スムーズな審査と適切な条件での資金化が期待できます。
北海道の建設会社では、一般的なファクタリング会社と建設業専門のファクタリング会社の両方に相談したところ、前者からは「出来高債権は完成していない工事なので取り扱えない」と断られましたが、後者からは「適切な出来高査定書があれば問題ない」との回答を得ました。建設業の特性を理解している会社を選ぶことの重要性を実感したといいます。
出来高債権ファクタリングにおける注意点と対策
出来高債権ファクタリングを活用する際には、いくつかの注意点とその対策も理解しておく必要があります。
まず「出来高に関する認識の相違リスク」に注意が必要です。発注者と施工者の間で出来高の認識にずれが生じると、ファクタリング後のトラブルの原因となります。これを防ぐために、事前に詳細な工程表と出来高算定方法を合意しておくことが重要です。
関東地方の年商2億円の建設会社では、以前に出来高の認識相違から発注者とトラブルになり、ファクタリング会社への支払いが遅延するという問題が発生しました。この経験から、工事開始前に詳細な工程表と出来高算定基準をまとめた「出来高査定協定書」を発注者と取り交わす仕組みを導入。以後はトラブルなく出来高債権のファクタリングを活用できるようになりました。
次に「遅延リスクへの対応」も重要です。工事が遅延した場合、予定していた出来高に達せず、計画していたファクタリングが実行できなくなるリスクがあります。このリスクに備え、工程管理を徹底するとともに、代替の資金調達手段も検討しておくことが望ましいです。
中部地方の建設会社では、天候不良により工事が遅延し、予定していた50%出来高を達成できなかったことがありました。その際、急遽別の完成工事債権をファクタリングすることで対応しましたが、手数料率が高くなるなどのデメリットがありました。この経験から、資金計画には余裕を持たせ、複数の調達手段を準備しておく重要性を学んだといいます。
また「手数料コストの最適化」も重要な課題です。出来高債権ファクタリングは通常のファクタリングと比べて手数料率が若干高くなる傾向があります。これは工事未完成部分のリスクを反映したものですが、以下のような対策で手数料率の低減が可能です。
公共工事や信用力の高い発注者の工事を優先する 複数のファクタリング会社から見積もりを取得して比較する 継続的な取引によるリレーションシップを構築する 出来高査定の信頼性を高める詳細な証明資料を準備する
九州地方の年商2億5,000万円の建設会社では、出来高債権ファクタリングを定期的に利用することで、ファクタリング会社との信頼関係を構築。初回利用時は手数料率9%でしたが、継続的な取引により現在は5.5%まで低減され、年間約200万円のコスト削減につながっています。
建設業界における出来高払いとファクタリングの連携は、工事進捗に応じた段階的な資金調達を可能にする効果的な手法です。特に長期にわたる大型工事や、複数の工事が並行する繁忙期における資金需要に対応する強力なツールとなります。出来高査定の信頼性確保と戦略的な活用計画を立てることで、資金繰りの安定化と事業拡大の両立が可能になるでしょう。

